規制賛成派への反論


GTA3有害図書指定問題

規制賛成派の主張を小見出しにして、それに対する反論をぶら下げる形で書いています。色で囲んだ見出しが「規制賛成派」の主張、その下にある地の文が「規制反対派」の主張です。

ゲームが犯罪を誘発することは報道で明らか

  • マスコミの報道が正しいとは限らない。
    • 「TVで報道されたから真実」だとすると、「今日のラッキーアイテム」や「細木数子の占い」なども科学的真実となってしまう。
    • 親が子供に見せたい番組一位、NHKの『プロジェクトX』でさえ、ねつ造報道をしていた。http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200505230046.html
    • よって「報道されたから正しい」という態度は誤りである。
  • だからこそ規制反対派は、間違っているかもしれないマスコミの報道を元にした議論ではなく、科学的な証拠を求めているのである。

少年犯罪が起こると、ほとんどの場合、犯人の少年が「ゲームファンだった」と報道される。これはゲームが犯罪を誘発する何よりの証拠である。

  • こどものゲーム参加率は、小学校低学年男子では82.5%・高学年男子では90.4%にのぼる。 http://www.itmedia.co.jp/games/gsnews/0402/23/news12.html
  • つまり、正常なこどもであろうと、犯罪を起こしたこどもであろうと、こどもをひとり掴まえて「ゲームをやるか?」と質問すれば、90%が「はい」と答える。犯罪を犯した少年の90%がゲームファンだとしても、それがゲームの有害性を証明するものにはならないのである。

ゲームは「自分で操作する」ところがTVや小説と違っている。だからゲームは青少年への悪影響が強い。だからTVや小説は規制せず、ゲームを規制する。

  • その仮説は興味深いが、科学的な実験結果がないので、あくまで「仮説」である。科学的根拠のない仮説に基づいて法的規制を行うのはあまりにも危険である。
  • 「仮説」によってメディアを規制していいのであれば、以下のような仮説はいかがだろうか?
    • ゲームは映像も音もついているが、小説は映像や音を読者自身が想像しながら読む。よって小説を読むときは、ゲームの場合よりも強く想像力を刺激される。よって小説はゲームよりも有害であるから、ゲームよりも先に小説を規制すべき。
    • ゲームはわざわざゲーム機とゲームソフトを買ってこなければ遊べない。だがTV番組は、テレビさえあれば、無料で見ることができる。よってTVはゲームよりも影響力が高い。しかもTVを見ている間は操作を必要としないため、TVのバーチャル世界に没頭してしまい、TVと現実の区別がつかなくなる。これに対しゲームは、ディスクの入れ替えやコントローラの操作のために気が散り、現実に引き戻されるので影響力が小さい。ゲームよりもTVのほうが青少年への悪影響が強いから、先にTVを規制すべき。

青少年保護のためには「疑わしきは罰する」でいいと思う。ゲームが犯罪を誘発するという科学的証拠がなくても、ゲームは犯罪を誘発するおそれがあるから、疑わしきは罰するの原則に基づいて、ゲームを規制すべき。

  • 「疑わしきは罰せず」(推定無罪の原則) が、近代刑事司法の大原則である。この原則が崩壊したら、日本は近代国家ではなくなってしまう。
    • http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8E%A8%E5%AE%9A%E7%84%A1%E7%BD%AA
    • 1789年のフランス人権宣言や1948年の世界人権宣言のなかに盛込まれ、ほとんどの先進国では、確立した原則となっている。
    • 日本国憲法第31条でも「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」と定められている。この自由には、幸福追求の自由、ゲーム会社の営業の自由も含まれる。
  • なぜ「疑わしきは罰する」ではいけないのか、よく考えて欲しい。

規制といっても成人には販売してよいのだから、基本的人権を不当に侵害しているとはいえない。

  • 以下のように基本的人権の侵害である。
    • ゲームソフト販売店は、有害図書類を陳列する場所を区分しなければならない。そのためには人件費や材料費がかかる。このような出費を販売店に強制するのは、憲法13条(幸福追求の権利)・29条(財産権) の侵害である。また、販売店がそのような出費を拒み、有害図書専用スペースを設けないことを選択した場合、有害図書指定されたゲームソフトはその販売店では売られないことになる。これは事実上の発禁であり、憲法21条(出版・表現の自由)の侵害である。
    • 高校生など18歳未満のゲームファンは、ゲームへの参加人数が多く、ゲーム製作側から見れば重要なお客様である。18歳未満への販売が禁止されると、この重要なターゲットへの販売ができなくなる。これはゲーム製作者の幸福追求の権利(憲法13条)の侵害である。
    • ゲームの中でストレス解消したいと思っている青少年が、それをできなくなる。これは青少年の幸福追求の権利(憲法13条)の侵害である。

警察官刺傷事件はゲームがヒント

駐在所襲撃、ホラーゲームがヒント?中3同級生が語る について反論する。

  • この報道の情報源は「送検された同県石巻市の中学3年男子生徒(14)の同級生が 同署に対し「事件での凶器の扱い方が、生徒が遊んでいたホラーゲームとよく似ている」などと話している」となっている。
    • 情報源は、犯人本人でもなく、警察関係者でもない、ただの同級生である。これは信頼できる情報源といえるだろうか? 情報源がまったく信用できない。
    • 例えば、同級生が犯人をかばうために、犯行は犯人の意志によるものではなくゲームのせいだ、ということにしたとは考えられないか?
  • そのホラーゲームとは以下の写真 (写真1, 写真2) から推測すると「SIREN」(ソニー・コンピュータエンタテインメント) だと考えられるが、このソフトは 2003/12/28 までの集計では 約11万本 が販売された。その後、SIREN PlayStation2 the Best という廉価版で再販された。さらに、販売本数にカウントされない中古ソフトとして流通したものもある。
    • 総務省統計局のデータによると、少年が殺人事件を起こす確率は 10万人に0.71人、つまり14 万人にひとりである。ゲームをやろうがやるまいが、14万人にひとりの割合である。
    • SIREN が犯罪を誘発したと結論づけるには、SIREN をプレイした人が十何万人いるかを数え、そのうち何人が犯罪を犯したかを数え、その割合がゲームをやらない集団よりも有意に多いことを示す必要がある。
    • 犯罪率が有意に高いことは示されていない。ゲームが原因とはいえない。
      • 現代の刑事裁判のモデルを使って議論を進めるなら、犯罪率が高まる証拠を示すのは「検察側」の役回りであるゲーム規制賛成派がやるべきことだ。規制賛成派はぜひデータを持ってきてほしい。