スパイダー・ワールド 賢者の塔


 1990年代以降に、CWの活動の中でもかなり精力を傾けてきたものの一つがこの「スパイダー・ワールド」シリーズ。『現代殺人百科』の共同執筆者ドナルド・シーマン?が当初暖めていたSF小説だったが、CWに協力を依頼していた。だが、その当人のシーマンが死去したことから、計画をCWが受け継いでファンタジー巨編が生まれることになる。ここ数年のうちにもスパイダーの第四作「シャドウランド」が完成している。

 舞台は近未来の地球で、人類はクモの脅威に脅かされて、一部は奴隷、一部は僻地へと逃れていた。主人公の少年ナイアル(Niall)は、家族と砂漠の大地に暮らし、バルーンで偵察にやってくるクモを恐れる日々を送っている。  厳しい生活を送りながら、ナイアルは砂漠に住む昆虫たちの心の動きを察知できるようになる。大人や兄と別の居留地への冒険に出かけていくうちに、ナイアルは自分の能力を育てていく。そして、クモの世界に興味を持ち出したナイアルは危険を承知で、クモの巨大都市へと向かっていくことになる。どうして人類はクモに支配されるようになったのか、という秘密が次第に明らかになっていく。

主要登場人物

  • ナイアルの一族
  • ナイアル …… 主人公
  • ジョマー …… ナイアルの祖父
  • ウルフ  …… ナイアルの父
  • シリス  …… ナイアルの母
  • ウェイグ …… ナイアルの兄
  • ル ナ  …… ナイアルの妹
  • マーラ  …… ナイアルの下の妹
  • ソーグ  …… ナイアルの叔父
  • インゲルド…… ソーグの妻

この小説の楽しさはとにかく、CWの思想よりも、意外と昆虫や生物の生態にCWが興味を持っていることを発見したことだ。主人公ナイアルがアリやクモの生態を克明に把握しようとしている様子や、2巻でナイアルが遭遇する異様な生命の満ち溢れる世界の描写、それから、砂漠化した地球でサバイバル的生活を送っている様子の描写がCWの新境地。


感想・コメント

読んだ感想をどうぞ。

コメントはありません。 コメント/スパイダー・ワールド賢者の塔?