天空勇者フライトナー第3話


天空勇者フライトナー

「合体!スカイライナー!」


「揚力刀! 竜巻斬り!!」
 真っ二つにされた作業用ロボが爆発炎上する。
 建築作業中に暴走していたようだ。
「ふぅ、これで一件落着だぁ」
 地面にへたり込むカイト。
 今回は操縦していない。
「さぁ、戻ろう、カイト」
「あぁ」
 こうして街の平和は守られたのであった

それらの光景を影から覗く黒い影……。
「やはり、もう少し様子を見る必要がある」
それは身を翻し闇夜の中に消えていった。


〜数日後〜

「夜11時を回りました。BOSニュースの時間です」
 部屋のテレビの中でアナウンサーがニュースを読み上げている。
 そのテレビの横、簡易ベッドでぐたーっと横になっているカイト。
「あぁ、なんだ11時か。さてと……夜のパトロールに……」
 のっそりと起き上がって着替え始める。
 が、足元がおぼつかない。フラフラして今にもこけそうだ。
「うぁっと……危ない危ない……」
 テレビのリモコンを踏みつけそうになる。
 それで思い出したように、ふとテレビの方をみる。
 生放送のようで、上部にLIVEと表示されている。
「見てください! またも建築ロボが街で暴走しています!!」
 カイトの手が止まった、かと思うと大急ぎで着替える。
 そのまま、通信機を持ちながら、壊れそうなくらいの勢いでドアをあける。
「フライヤー! 出動だ!!!」
 廊下を走りぬけながらフライヤーに通信する。
「了解!」
 通信機の画面に発進するフライヤーが映される。
 それを確認した後、カイトはライトナーズの元へ向かう。
「今日は緊急だ、フルスロットルで現場に向かおう」
 ジャンボライトナーに乗り込む。
 前のシャッターがあがり滑走路が伸びる。
「ライトナーズ! 発進!!」
 甲高い音が格納庫に響き渡る。
 そして、轟音と共に一瞬のうちに空へと飛び出して行った。

「天空合体! フライトナー!!」
 空中で合体したフライトナーがロボの横に着地する。
 作業用ロボのライトが鋭く光りこちらを睨んでいるようだ。
 ふと、カイトはこれと同型の作業用ロボならあるはずのないロゴが書かれているのに気づいた。
「フライヤー、右の肩だ。見えるか?」
 フライトナーの目、メインカメラが右肩の印字を捉える。
 そこには -Institute of Fog Line- とかかれていた。
「なんとわかりやすい奴だ、カイト。フォグ・ライン研究所と書かれているぞ」
 呆れたような声でフライトナー。やれやれといった感じだ。
「まぁ、とりあえずあれを止めよう、フライヤー」
 カイトは握っている操縦桿をめいいっぱい前に倒した。
 フライトナーのジェットエンジンが一斉に回る。
 轟音とともに一気に接近するフライトナー。
 揚力刀を構えつつジャンプする。
「はぁぁっ!」
 自由落下に合わせて揚力刀を振り切る。
 が、紙一重でよけられる。
「なに!? 作業用ロボがそんなに素早く動けるはずがない!」
 カイトは予想外の動きに困惑している。
 そこへ奇襲をかけるように現れる2台の作業ロボ。
 ギリギリのところでそれをよけるが、着地を狙われ、攻撃を受けてしまう。
「がぁぁっ」
 地面へ倒れこむフライトナー。
 幸いビルへの被害はなかったようだ。
 そのときである。通信機からノイズとともに声が聞こえてきた。
「フフフ、さすがは私の新開発兵器、元が作業用ロボとは思えない強さだ」
 通信機から聞こえてくる声に聞き覚えがあった。
 やはり、フォグ・ラインだ。どれかのロボに乗り込んでいるようだ。
「フォグ・ライン……なにが目的でこんなことをする!?」
 そう叫ぶカイトにフォグ・ラインはニヤリと笑う。
「目的?簡単だ。ここ最近で活躍するフライトナー。これを倒せば私のロボットの強さは証明される」
 さらに続けて
「見ておれ、フライトナー。これが私のブラック・ナイトメアをも凌駕する最強兵器だ!!」
 そう言ったかと思うと、1台のロボが空中へ飛び上がる。

「合体!」
 その叫びに応じるかのように残りの2台が空中のロボの真下に来る。
 それらは変形、脚となり、そこへ空中で変形した1台がドッキング。
「ふふふ、これが私の最強ロボ! ユニオンワーカーだ!!」
 右手にドリル。左手には作業用アームを装備した人型のロボとなる。
 元が元だけにずっしりと重い感じのするロボだ。
「合体した!? そんなバカな!!」
「今度こそ! 貴様を倒してやる! これで一躍、私も有名人だ!!」
 そう叫びながら突進してくるユニオンワーカー。右手のドリルを突き出し高速回転させる。
 これを受ければひとたまりもない。
「フライヤー! 避けろ!!」
 間一髪で避けたが、それを狙っていたかのように左手のアームに捕まってしまう。
「これで終わりだフライトナー!!!」
 高速回転するドリルがフライトナーに迫る。回転音が耳に響き痛くなるぐらいに大きくなる。
 が、急に音が小さくなる。
 よく見るとドリルが吹き飛びそこからは火花が飛び散っている。
「くっ、何者だ!!」
 ビルの上に黒い影が2つ。ちなみにそのうち1つの影はもう1つの影に隠れるように立っている。
 だが、構えたライフルはしっかり敵を狙っている。
「スカイライナーズ!」
 思わず叫ぶカイト。それもそうだ。
 格納庫に待機させておいたはずだったフォレッドとサーディが立っていたのだ。
 だから、そこにいるのはおかしいこと。
「どうして……だけど今はそうも言ってられない! よし!特急合体だ! スカイライナーズ!」
『了解!』  答えるように2体顔を合わせうなずく。
 そして、飛び上がるフォーディとサーディ。その後ろを行くようにフォーシィが空中を駆け抜ける。
「行くぞ! サーディ!」
「あぁ!」



「特急合体! スカイライナー!!」
 ユニオンワーカーの横に着地すると同時に蹴りを食らわす。
 そのまま奥のビルに向って吹っ飛んでいく。
 その衝撃で緩んだアームからフライトナーが落ちる。
 かなり傷だらけだ。それにもうすぐ5分だ。
「もう……これ以上は……エネルギーが持たない、あとは任せた……すまないカイト、スカイライナー」
 そういいながら合体を解くフライトナー。同時にカイトもフライヤーを降りる。
「いいってことさ。なぁに心配はいらねぇ。あんな奴ちょちょっと倒せるさ」
「大丈夫!ゆっくり休め!」
 その言葉を信じるとでも言うようにうなずき戦闘域を離脱するフライヤーとライトナーズ。
 そして、それを見届けたあと、敵を見据えるスカイライナー。
 ちょうどぶつかったビルの瓦礫の下敷になっているようだ。
「くっ……」
 ビルの瓦礫の下からはい出し、なんとか態勢を整えるユニオンワーカー。
 だが、あちこちに損傷が見られる。
「よし! スカイライナー! いっきに蹴りをつけるぞ!」
 その叫びに応えるように胸のMaxキャノンを起動する。
 フォーシィの連結部が開き中から砲身がせり出してくる。
「Maxキャノン! チャージ!!」
 スカイライナーが叫ぶと同時に砲口にエネルギーが集まる。
「シュート――ッ!!」
 そして、それは放たれた。
 閃光のごとく目標にむかって飛んでいく巨大なエネルギー球。
 そして、ユニオンワーカーの胸部を貫いた。
「くっ……またしても……フライヤーズ! 覚えていろ〜!」
 脱出するフォグ・ラインの叫びと同時にユニオンワーカーが爆発。

 こうして、街の平和は守られたのであった。


「さぁ、帰還しよう。だけど、どうしてここに……」
 やはり気になるようだ。もちろんカイトが応援を頼んだわけではない。
「起きてみたらフライヤーがいなくなってるたからな。整備の奴らに聞いてみたのさ」
「そう。僕たち調整がまだ終わってなかったから、出動命令を受けてなかったしね」
 先日の戦いで若干の問題が発覚、調整が必要になったのだ。
 それで超AIを停止させていたために出動できなかったというわけだ。
「まぁ、正直なところ助かった。2人が来てなかったら危なかった」
「仲間を助けるのは当然のことだぜ、隊長さんよ」
 フォレッドは腕を組みながらカイトに向かって言う。~  「ふっ、そうだな。よし! スカイライナーズ! 帰還せよ!!」
『了解!!』

 2台の列車を見送ったあと、さて帰ろうかというとき、ハッと顔をあげるカイト。
「あっ……しまったぁ!! はははは……どうやって帰ればいいんだよ―――ぅ!!」
 カイトの叫びが街のビルの森の中、空しく響くいた。

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