天空勇者フライトナー第2話


天空勇者フライトナー

「発進!スカイライナーズ!」


 あの宇宙生命体襲撃事件から数日。
 カイトは超AIを認められたのと同時に研究所内に警護部を展開していた。
「今日も何もないといいんだが」
 フライヤーに乗りこみパトロール中だ。
 といっても操縦はしていない。
 あくまでもフライヤーの意思で動いている。
「そうだな。カイト」
 なんて、なんの他愛もない会話をしていると
 突然、耳をつんざくような音がコックピットに鳴り響く。
「うぉ!?ってなんだ、俺の携帯か」
 メールだ。内容は

―To カイト
―突然、現れた謎のロボットに街が襲われている。
―どうもフライトナーが目当てらしい。
―至急、応援頼む。
―From フライヤーズパトロール隊

「どうした。カイト。事件か」
 ちょっとソワソワしたような感じでフライヤーは言った。
「残念だが、出動だフライヤー」
 やはり、何日も何も起こらないほうがおかしいか。
 そんな様子でカイトは言った。
「そう気を落とすなカイト。で、どこに行けばいい」
 フライヤーの慰めもあまり効果がないように見えた。
 それでも街を守るためだ。行くしかない。
 カイトは顔を叩き気合いを入れる。
「よし、ビル区だ!大急ぎでだ!!」
「了解!!」
 カイトの声を聞いた途端にスピードをあげるフライヤー。
 急な加速によるGでカイトはダウン寸前だ。

「こちら、フライヤーズ! 現場に到着した!」
 カイトのテンションはすっかり元に戻っている。
 地上で身長20メートルはあるだろう、人型の漆黒ロボットが暴れている。
 その足元でパトロール隊員が必至に戦っているが全く歯が立っていない。
 さらにこのロボには誰か乗っているらしい。
 ときたま「フライトナーとやらはどこだ」という声が聞こえてくる。
「チェーンジ!」
 フライヤーをすぐ横に着地させる。
「そこまでだ!」
 フライヤーが言った瞬間だ。
 その漆黒ロボがこちらを向く。
 不気味に光る眼がフライヤーを捉える。
「それがフライトナーか」

「こいつは強そうだぞフライヤー……。よし、天空合体だ!」
 カイトが通信機に向かって叫ぶ。
「ライトナーズ!!」

空の雲を割って3機のメカが現れる。
ジャンボライトナー・ジェットライトナー1・ジェットライトナー2だ。
「とぉ!」

「天空合体! フライトナー!!」
 今度は正面に着地する。
「それが真のフライトナーか。ふん。この私、フォグ・ラインの傑作『ブラック・ナイトメア』の敵ではない」
 自信たっぷりに言ってくれる。
「その自信、どこまでもつか。たっぷり相手してやろう! カイト!」
 カイトは握っている操縦レバーを一気に倒した。
 フライトナーが腰に装備した揚力刀を抜きながら走りだす。
 が、甲高い音とともに、揚力刀が後部に吹き飛ばされた。
 鈍い音をたて地面に突き刺さる揚力刀。
「何!? そんなばかな!」
 驚きを隠せないカイト。
 一体、何が起きたのか……。
 フライトナーの背後でブラック・ナイトメアが漆黒の剣を持って立っていた。
 一瞬のうちに剣を抜き去り揚力刀を弾いたのだ。
「ふん。遅いな。そんなことでは勝てないな」
 もう勝負は決まったも同然だった。
 フライトナーには武器がない。
 あと3本の揚力刀を使おうとしても同様だろう。
「くっ……こうなったら……」
 何か思いついたようにカイトは研究所に連絡する。
「あと3分持たせてくれフライヤー!」
 考えがあるのだろう。
 しかし、それを悟ったフライヤーはうなずき
「了解! とぉ! 揚力刀!!」
 金属がぶつかり合う音。背後から地面に何かが突き刺さる音が聞こえた。
 2本目も弾かれたのだ。
「まだだ! 揚力刀!!」
 またも金属がぶつかった。しかし今度は弾かれなかった。
 一瞬の隙を見て抜ききったのだ。
「くっ、小癪な……」
 さらにパワーをあげるブラック・ナイトメア。
 3本目の揚力刀も弾かれてしまった。
「ふん。まったく無駄だということに気付くべきだな」

「ふん、これを見ても無駄だというかな!? 3分だ!!」
 カイトがそう叫ぶと同時に遠くから汽笛の音が聞こえた。
 こちらに2台の列車らしきものが向かってきている。
 それらは新幹線の400系つばさとE3系つばさのような形をしていた。
『待たせた! カイト! フライトナー! とぉ!!』
 それは唐突にしゃべりだし、人型ロボに変形し始めた。
「チェーンジ! フォレッド!!」
 400系つばさから変形したロボはそう言って
「チェンジ! サーディ!」
 E3系つばさから変形したロボはそう言った。
 どちらも銀色に緑のライン。
 手にはライフルを握っていた。
「来たか! スカイライナーズ!!」
 カイトの声に2体はうなずく。
 実は密かに開発されていた超AI搭載型の新型ロボだったのだ。
 これはカイトとその他研究員しかしらない極秘情報だ。
「よし! あいつを倒すんだ!」
『おぅ!』
 フォレッドとサーディはブラック・ナイトメアに向かって引き金を引いた。
 命中。ブラック・ナイトメアは煙に包まれる。
 しかし、全く聞いていないようだった。
「なんだと! ライフルが効かない!?」
 フォレッドが叫ぶ。
 なんとブラックナイトメアには傷一つついていない。
『これならどうだ! ライナーミサイル!!』
 胸の連結部からミサイルが発射される。
 が、寸前のところでよけられた。
「ふん。それだけか、やはり無駄だったようだな、フライトナー」
 まだまだ自信たっぷりだ。
 だがその自信が敗北を生む。
 2体に気を取られている間にすべての揚力刀を回収。
 すでに十字刀が作られていた。
「何!? しまった!!」
 もう遅い、フライトナーの周りの空気が超高速で動いている。
「揚力刀!! 竜巻斬り!!!!」
 超巨大竜巻を発生させながら回転する揚力刀。
 そして、フライトナーの手から放たれる十字刀。
 それは回転力を増しながらターゲットに近づいていく。
「くぅ! そんな馬鹿な!! この私のロボが負けるなど!!」
 真っ二つに斬れるブラックナイトメア。
 爆発にまぎれてポッドで脱出する、フォグ・ライン。
「くそ! フライヤーズめ……ここまでやるとは、覚えていろ〜!」

 こうして今日も街の平和は守られたのであった。

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