CANALAZZO 5号


CANALAZZO 5号

2006/03/03(金)発行

━━━(1面)【社会】謝肉祭開幕━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

3月1日、ヴェネツィアで謝肉祭が開幕した。
ガンディアでの騒乱発生の一報をはねとばすかのように、仮面をつけた老若男女があふれ、サンマルコ広場は常にない賑わいをみせている。国内外からの観光客が仮装して身分の上下にかかわらず楽しむ狂乱の祭りは、 今月26日まで続く予定。

期間中は、仮装行列、人形使いの芸、旅芸人の一座の公演、人気作家アンジュ監修の戯曲など様々な催し物が企画されており、さらに運が良ければ、二本足で立つ熊の演芸等も楽しめる。
残念ながら、縫製職人組合の気鋭の新作カルネヴァレアービトは供給が間に合わず、在庫が払底、次回の入荷は来週にずれ込む模様だ。

なお、夜警隊からは、
「期間中、スリ・置き引きなどの犯罪が多発します。くれぐれも懐やお手回りの荷物、“足元”には充分ご注意ください」
との警告が出回っている。

━━━(2面上段)【海外】ベンガジ同盟港化成る━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ベンガジでのヴェネツィア商船団と東地中海の財閥との熾烈な投資合戦は、ヴェネツィア側の継続投資により、優位に展開。
2月末時点で再び金獅子旗が北アフリカにはためくことになった。
現在のところ、ヴェネツィアが商業権益の半分を制し、ついでフランスがほぼ二分する形で権益を確保し、小康状態を保っている。
しかし、かの大富豪もまだあきらめていないのではないかという憶測も流れており、今後の同盟維持に、さらなる継続投資が望まれているが、ベンガジ太守のあまりの欲深な態度に辟易している市民も多いようだ。

━━━(2面下段)【海外】カンディア騒乱終結━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

カンディア総督府で発生した騒乱事件はわずか2日足らずで鎮定されたことが元首官邸より発表された。

ポルトガルの旗を掲げるあるグループによるカンディア総督府無血占拠は、警備艦隊がベンガジ方面への警戒を強め、カンディア港が手薄になった中、3月1日に発生。
一時は、クレタ島全域に騒乱が広がり、昨年に起きた全面撤退の悪夢の再現もありうるかにみえたが、現地夜警隊の速やかな作戦行動によって、これまた流血を見ることなく鎮圧された。
騒乱の首謀者は逃亡してしまったが、「タタール人のような風貌」だったとの証言もあり、消息筋によれば、本国十人委員会では第三国の謀略の可能性も疑っているとのことだ。

━━━(3面上段)【文化】2月のベストセラー(リアルト書店商業組合調べ)━━━━━━━━━━━━━━━━━

1位 芸術家の観察心得
2位 旅人の手記
3位 パスタの基本
いままで、羊皮紙写本しか出回っていなかった「芸術家の観察心得」が活版印刷で単行本化、意外な人気を博している。
だが、造本が弱く、すぐにバラバラになって読めなくなるために、
「まとめ買いをする読者が多数いて売行き好調」(道具屋主人談)とのこと。

━━━(3面下段)【社会】スキアヴォーニ、待遇改善に向けて行動過激化━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

長らく、ヴェネツィアの水夫の中核を占めてきたスキアヴォーニ(ダルマツィア地方のギリシア人水夫)が船長に対し、待遇改善を求めて、実力行使をとるケースが最近増えてきた。
彼らは1日1ドゥカートの破格の待遇を得ているが、死と隣り合わせの職場であることに加え、船長が経費削減に努めるあまり、ひどい場合には、「乾パンと安ビール」ですら与えられない過酷な職場環境に、最早我慢できない者が続出。
いままで、諦観から衰弱して倒れるばかりだったのが、欲求不満を訴え積荷の酒を奪う者、喧嘩をはじめてしまう者、中には捨て鉢になって反乱をおこす者まで現れる始末である。
水夫長の活躍で鎮圧される場合もあるが、熟練水夫の思わぬ離反・脱落に頭を抱える船長たちは経営方針の変更を余儀なくされている。