CANALAZZO 27号


CANALAZZO 27号

2006/07/24(月)発行

━━━(1面)【海外】ベイルート問題深刻化━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

7月下旬に再燃した、ベイルートを中心とした東地中海情勢の波乱は、深刻の度合を増してきている。

ベイルートに関しては、昨日立っていた金獅子旗が、本日は百合の紋章旗に取り替えられ、そしてまた…といった、めまぐるしい変化が続いている。これに呼応するように、セヴァストポリでも小競り合いが生じている。

7月23日現在では、フランスの商工会議所が本腰を入れた交渉を行い、ベイルートでは7割近くの商業権益を確保。
あわせてセヴァストポリの再同盟港化にも成功している。

東地中海は今、またしばらく金貨の飛び交う熾烈な投資合戦が継続していくのかどうかの正念場を迎えている。

【ことば】ベイルート問題

東地中海随一の商業港ベイルートの商業権益をめぐるヴェネツィア・フランス間の経済問題を指す。
双方が優先権を主張してやまず、時折、大規模な投資戦に発展する。
ヴェネツィア側の主張は、

「もともとヴェネツィアには、東地中海の盟主として、
 シリアとの交易に一日の長がある。
 加えて、フランスの、ベイルート港をはじめ、
 シリア・エジプト・キプロス諸港の獲得には、
 極めて不明朗な金の流れがあった。
 このような不自然な状況は一刻も早く解消されるべきである」という。

一方、フランス側も

「いまや、疑惑の中心人物は引退しているし、
 その後の維持には莫大な投資を費やしており、
 今更そのような過去を持ち出されても片腹痛い。
 まして、対ハプスブルク戦略からいえば、
 トルコと接近するのは極めて正常な行為であり、
 中東交易を手放すことはできない」と譲ることがない。

いずれにしても、実益よりも両国の面子をかけた問題となりつつあるが、
現在のところ、これといった解決策は見つかっていない。

━━━(2面上段)【海外】クレタ反乱鎮定━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

この度、カンディア総督府より、7月21日クレタ島で起きたギリシア系住民による反乱は極初期の段階で鎮定されたとの報告が元老院にもたらされた。
報告では、外国勢力による反乱扇動の動きもあったことが触れられており、不安定な東地中海情勢とあわせて、しばらくの警戒強化が必要と述べている。

━━━(2面下段)【海外】サロニカ、同盟港に編入━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

7月23日、サロニカの僭主はヴェネツィアとの同盟を表明、元老院はこれを受け入れた。
「トルコから保護してくれるならどこでも構わない」というのがサロニカ側の思惑とみられているが、現在も見事なポルトガルとの二股外交を続けており、いつまた、離反するか目が離せない状況だ。

━━━(3面)【国際】イスパニアに出兵計画━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

この度、イスパニアが7月末に外洋への出兵を計画していることが明らかになった。
計画では、インドなども含まれているようではあるが、情報筋によれば、「西アフリカが遠征先になるのではないか」とのことである。

しかし、このところ続く連戦連敗状況にイスパニア国内では、早くも厭戦論がとびだしており、タベラ枢機卿は「立てよ、国民よ!」と鼓舞する演説を、カテドラルのミサがあるたびに行っている模様だ。

一方、ヴェネツィアもこれに呼応して、現在出兵を検討している模様だが、
「もし、西アフリカであれば、
 サンジョルジュ確保のための最善の行動をとる」

と表明するのみで
現在まだ旗幟を明らかにはしていない。

━━━(4面)【国内】財政難解消に政府、仰天秘策━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

対トルコ戦役や立て続けの外征によって、財政難に陥りつつあるヴェネツィア政府が、この度、財政問題解消の秘策として、公営アッパルタメントの建設に乗り出すという計画が存在することが、わかった。

計画では、建設予定地としてサンマルコ広場の一角という特等地を確保し、富裕層をターゲットに、不動産価値に見合った価格での賃貸住宅の経営を行うとのことだ。

すでに一部建物買収にのりだしており、広場沿いの食堂や商店主との交渉は順調とも言われている。

が、一方では、サンマルコ寺院、元首官邸、行政府、鐘楼、図書館、造幣局などが立ち並ぶ、ヴェネツィアの中心部での景観問題、数々の祝祭、政治的儀式や公開処刑の場ともなるサンマルコ広場の騒音問題、大規模建設にともなう地盤からの見直し、など問題が山積しており、代替案として、北のカンナレジョ区あたりで妥協すべきとの意見もあがっている。