CANALAZZO 14号


CANALAZZO 14号

2006/05/10(水)発行

━━━(1面)【海外】荒れる東地中海━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ヴェネツィアによるベイルートの同盟港化から始まった東地中海の経済紛争は、5月7日のフランス商船団によるベイルート港の同盟港化という一大反攻を皮切りに、一進一退の攻防が続いている。

一時はベイルートに続き、ベンガジがフランスの同盟港となった。
これは、近海航行中のヴェネツィア商船団によって、最小限の影響に留められたが、ついでカンディアがフランス私掠船団の圧力に屈し、サロニカの僭主も動揺してイングランドの庇護を求めるなど、東地中海域でのヴェネツィアの影響力が著しく低下する事態が生じている。

しかしながら、国内は比較的平静を保っている。
もともと、ベイルートに影響力を確保することを決めた段階で、何らかの反動があることは織り込み済みで、 フランス側の反撃についても、すべてが連動しているとはみなされておらず、また、サロニカに関しては、偶発的な事態であると分析されている。

現在、臨時の商船団が組織され、東地中海域の引締めにかかる計画が進行中で、5月9日の段階でカンディア、サロニカを固めることに成功した。
さらに元老院内部だけでなく、16日の市民大集会においても、今後の方針をめぐって更なる議論が深まることが予想される。
一方のフランス側も再攻勢に出ることは想像に難くなく、東地中海情勢がしばらく混沌としたものになることは必至だ。

━━━(2面)【国際】三国民間交流計画発表━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

この度、イスパニアの商工会議所から、民間交流計画の概要が発表された。
計画では、親善交流を目的に、5月中旬、イスパニア、フランス、ヴェネツィアの三カ国の国民の共同商船団を組織し、西アフリカでの貴金属・宝石の共同買付を行うことを予定している。
詳細は、5月10日以降発表の予定。
この微妙な情勢下での開催を危ぶむ声もあるが、元首官邸サイドでは、民間交流に何ら掣肘を加えるつもりはないとの見解を示している。

━━━(3面上段)【社会】復活祭、終幕へ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

4月に始まった復活祭がこの5月10日に終わりを迎える。
期間中、卵狩りに繰り出した航海者達は、巷で、口々に「卵を取り替えましょう。卵を取り替えましょう」と追い込みにかかっている。
なお、実行委員長のヴィットーリア嬢は、「無事、だ…いえ、大役を果たすことができ、今は満足しています」とミルクを片手に短くコメントした。

━━━(3面下段)【社会】酒場に家宅捜索、異端摘発か?━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ヴェネツィア夜警隊は、この度、交易所出入りのある徒弟から訴えに基づいて、交易所向かいの酒場の家宅捜索を行った。
容疑は、魔術の使用。
訴えによれば、ここしばらく向かいの酒場から、夜な夜な呪文とおぼしき声が聞こえる、不自然な光が漏れてくるなどの、様々な怪しげな現象が起きているという。
夜警隊は記者発表で、家宅捜索によって、大量の疑わしい杖、指輪、手鏡、護符、書物などを押収し鑑定を急いでいること、また、酒場の主人ならびに女性従業員とその家族に対し、任意での事情聴取を水曜午後に行うことを明らかにした。
もし、異端と認定されれば、ヴェネツィア初の異端審問に発展することとなり、市内の辻占い師、錬金術師は戦々恐々としている。