StrayFortune:TeamD:Story


Prologue

 「はぁっ……はぁっ……」
白衣をまとった女性が廊下を駆ける。月明かりに光るほの暗い廊下、彼女だけが目立って見えた。
 「はぁっ……はぁっ……」
胸には強く黒いダレスバッグが抱きしめられている。必死に走ろうとするが、その足はもうすでに早くは無かった。
 「っ!」
声にならない声と共に彼女が倒れる。急いで自分が走ってきた方向に恐怖に引きつった顔を向けた。その方向から、暗闇から滲むように黒い犬が現れる。ただ、その頭は三つあり、神話に出てくるケルベロスのようなつくりをしていた。
 「ふふっ……今までの報いかしらね……」
すこし俯き自嘲気味に笑う、だが次の瞬間にはその犬を睨み殺すように凝視する。
 「でも!これは必ず次につなげる!じゃないとあの子にあわせる顔が無いじゃない!」
途切れ途切れな荒い息を吐きながら、持っていたダレスバッグを漁り、中からペンのような物を出す。それと同時に黒い犬が彼女に向かって走る。彼女はペンのような物の片側についていたシールをはがすと握り締め右腕を大きく右に伸ばす。黒い犬が彼女の首を目掛けて跳躍する。彼女がその手を左に振ろうとしたその時
 「ィィィィィィィィイイイヤッホォォォオォォオオオッォォオ!!!!!!」
雄叫びのような声と共に窓が弾ける。彼女は、その雄叫びの主を確認しようとするが、砕けたガラスに襲われ、目を見開くことさえままならなかった。彼女は持っていたペンを手放し、顔を庇った。黒い犬の方はというと、窓から飛び込んできたものに衝突し、壁に紅い色を放った。
割れた窓、微かに降る雪、少しの静寂。吹き付ける冷たい風の中
 「さぁあて、俺の相手はどこのどいつだぁ?♪」
突然窓から飛び込んできた少年は満面の笑みを浮かべながら周りを見回した。もう残骸となった犬に片足を置き、おどけたように眉のあたりに手をかざし遠くを見ている。彼女はただ呆然と少年を見つづけていた。

20日

0:00〜1:00

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