TS-440Sの改造 / 出力アップ


流石に初期の発売から四半世紀が経過しようとしているTS-440である。パワーがダウンしてきている個体もあるらしい。そこで、出力を調整して100Wを回復する方法を記載する。
無論、出力をアップさせ違法運用する目的で書いているわけではない。

出力の調整方法

フィルターユニットの半固定抵抗VR1(ALC)を調整すると、出力を調整可能である。100Wに調整する。下記写真中央がVR1。
ちなみに、その右隣のスライドスイッチが50W/100W(移動局/固定局)切替スイッチS1。同ユニットのその他の半固定抵抗で調整できるパラメータは、SWRプロテクション(VR2)、50W時の出力(VR3)、ALCメーター(VR4/VR5)、パワーメーター(VR6)である。

ALC VR

さすがにヘビーデューティを謳っているだけあって、放熱はしっかりしており、終段には余裕ある東芝2SC2879(Pc 250W, Po=100WPEP)×2を採用している。このため、少し調整すると150Wぐらいは容易に出すことができるはずだ*1

一応ですが、免許の範囲・安全上等、自己責任でお使い下さい。

無理は禁物です。特に電源容量と放熱に注意。20Aの定格ギリギリの電源(純正品など)でパワーを上げてしまうと、保護回路が容易に働くきわどい運用になってしまうだろう。
また、出力を上げた状態ではリニアアンプのバイアス電流が不足し、リニアリティが失われる可能性があるので、適宜対応頂きたい。*2


*1 13.8Vで使用可能な終段としては、プッシュプルでギリギリ100Wを吐ける東芝 2SC2290(Pc 175W, Po=60WPEP)とは違い、2SC2879は100W機に使うには相当余裕のある石である。ICOMでよく採用されていた三菱 2SC2904(Pc 200W, Po=100WPEP)と同クラスと考えてよい。2SC2879は最近のMK V FT-1000MPにさえも使われているので、100Wにとどめておき綺麗なSSBを出すのが正解であろう。
*2 何をすべきか解せない人は、いじらないほうがいいと思います。汚い電波を出すだけで済めばまだいいですが、最悪ファイナルや電源まわりを飛ばすことにもなるかもしれません。