R-5000はケンウッドより発売されていた受信機である。 それも「通信型受信機」という特殊なジャンルの受信機であり、主にBCL・SWLに《かなり気合が入っている》ような方が購入されるものだったと思う。
そもそも「通信用」ではなく「通信型」の受信機とはそもそも何なのか。
少なくともこの40年ほど、我々アマチュア無線家の大多数にとって「通信型受信機」は、近いようで微妙に縁遠い機器だったのではなかろうか?
送受信機がセパレートしていた昔々ならいさ知らず、ここ半世紀ぐらいは「無線機」ないしは「通信機」とは通常、送受信機が一体化したトランシーバーを指す。 だから「通信型受信機」は送信部がついていない「受信機だけ」なわけで交信用として片手落ちであり、わざわざ買うものではないと思う*2。
弱い信号を聞き取りながら交信を行うアマチュア無線家の視点では、R-5000以前にトリオから市場投入され「通信型受信機」を名乗っていたR-600、R-1000、R-2000あたりは、感度・選択度・安定度上、所詮「高級BCLラジオ」であり、SSBがどうにか復調できる程度の「簡易型受信機」そのものだった。少なくとも「通信用〜」とは言い難いものだった。。
これに対してR-5000は、家主には、それ以前のケンウッドの通信型受信機とは一線を画した「通信機型の、通信用の、受信機」に思えるのだ。
なにしろ、凝りすぎている上に、実戦的な機能が無線機くさすぎるのである!
R-5000がアマチュア無線家(ハム)の視点から、SWLではなく「アマチュア無線をするための受信機」として真剣に語られているのを、あまり見たことがないように思う。 実のところ発売当時、大半のハムにとってR-5000は「HF機のカタログに、とってつけたように一緒に載ってる受信機」ぐらいの存在だったのではないだろうか。
特に本製品発売当時(80年代後半〜90年代)は、実売10万を切りゼネラルカバレッジ受信機能を内蔵した低価格HF機が市場を席巻していた。
そんな時代に、ニッチな商品とは言え強気にも定価が15万もしていた受信機なのである。「民生向け短波受信機としては破格」であり「SWL用短波ラジオの一種と見ると高級すぎて道楽レベル」だろう。
とはいえ、当時通信機業界トップレベルだったケンウッドの高周波技術で、おそらくはコスト相応に受信機が作りこまれていたことが想像(期待)される。
如何なる設計思想で、どのような購買層をターゲットに商品開発されたのだろうか? R-5000の内部をいじったり回路構成を調べ、外観がそっくりなアマチュア無線機TS-440Sと比較しながら、アマチュア機との違いも考えてみたい。
更に、それなりのアンテナ設備でアマチュア無線の電波を思いっきり受信させて、使いどころを考えてみた。
1980年代のCQ誌を漁ってみる。
1986年の号にはまだR-2000が紹介されているが、1987年には登場している。発売年は1987年なのだろうか。
1987年5月号のケンウッドの広告。
最高級機TS-940、実戦機TS-440、6mコンパチ機がTS-670の時代。懐かしいラインアップですね。
それはそうと、下の右隅に、
いた!