実践編 / DXingに使ってみる


現代的に使ってみて気づいたこと

チューニング動作とステップの使いにくさ

  • VFOダイヤル1回転の周波数変化(デフォルト:10Hzステップ)がかなり少なく、ものすごく遅く感じる。他社機のフィーリングに近づけるには、20Hzステップぐらいに設定しておく方がいいかも。
  • CWの項でも書いたが、周波数を飛ばすクリックダイアルがないのが少々不便だ。
    • ちなみに、クリックダイアルの代用に一見なりそうな「DOWN」「UP」ボタンは、仕様上ステップ周波数の100倍に固定されている。そのためステップを20Hzにしてしまうと2kHz飛ばしになってしまう。せめてマイクのUP/DOWNキーで1kHzステップで上下で来てくれたりすれば快適なのだが。
  • モードを変えた時には、周波数をそのままにステップだけが変わる。そのため、モード切替前に生じた端数が、ステップに合わせて切り上げ/切り捨てされない。今時の、クリックダイアルで500Hz/1kHz飛ばしができるリグに比べると、ちょっと不便ではある。
    • ステップが細かいモード(SSB/CW)から粗いモード(AM/FM)へ切り替える際は、切替前にピッタリの周波数に合わせておく必要がある。SSB/CW間を行き来する場合は問題にならないが、AM/FMも頻繁に使う方には不便だろう。

スプリット運用

  • 「T.F./R.F.」ボタンは受信中にワンタッチでもう一方のVFOで受信することができ、その周波数をいじることもできる(ケンウッドにおける 「TF-SET」に相当)。DXを呼ぶときに有用。
  • ただし「T.F./R.F.」は、オリジナルのVFO周波数((例)F1)における周波数ステップが、もう一方のVFO周波数(同F2)に適用される。

「LOCKキー」の役割

  • JST-135は「LOCKボタン」を押すと、周波数のロックどころか、あらゆるファンクションの受付を(たぶんロジックレベルで)止める。RIT/ATT/AGCの切替どころか、パネル左上側の付属機能も全部ロックされる。フィルタ―の帯域切替もできなくなる。
  • 他社のリグにおいては、「LOCKボタン」を押すと止まるのは、周波数位だと思う。AGCやATTの切り替えを電子制御にしたリグは、JST-135発売当時は珍しかったが、LOCKが全停止するのはいただけない。JRCの開発部隊にアマチュアを運用してる人はいなかったのだろうか。

メモりチャンネル数の多さ

  • JST-135は当時としては驚きの200チャンネルメモリーが内蔵されていた。それも、ATT/AGC/VOX/BANDWIDTHなども一緒に保存される。
  • 現代的には国内外のQSOに非常に便利だ。1.8MHz帯や3.5MHz帯 SSBの3kHzステップ(紳士協定)を全部メモりしたり、500Hzステップで局がCW局並ぶ7000.5〜7.015.0kHz欧文、その上の和文を一度登録してしまえば、メモリを切り替えて快適にQSOできる。

付属回路

  • SSB・CWの混信時にBWCはかなり効果的。
  • ノッチは、現代的なDSPによるシャープかつ強力なノッチ(80dB以上の減衰量)に比べるべくもないが、ビートなどの軽減にそこそこ実用的。なおノッチフォローユニットは(お察しください)
  • NBはナローとワイドの2モード内蔵しているが、いずれもあまり頼りにならない。都市部などノイズが多い環境では135は真価を発揮しない。
  • SSBの送信音モニターがないのが不便(モニターできず変調がどうなってるか不安)。
  • CWはエレキー非内蔵なので、外付必要。*1

入出力のインターフェース

  • 今どきPCとのリンク・制御が前提であるが、対応できない。周波数・モードをロギングソフトで読み出したり、ワンクリックでクイックQSYしたりといった芸当はできない。
    • 232C UNITをお持ちならば、ポート経由で少しいじればなんとかなるかも。
  • リニアアンプはLINEAR AMP端子で問題なく駆動できる(別項参照)
  • ACCESSORYにいろいろな入出力があり、工夫次第で色々使えそう。
  • IFが出力されてはいないが、3rd IFは98kHzなので、そこから引っ張り出して遊ぶこともできそうだ。70MHzルーフィングフィルター直前から引っ張り出し、70MHz帯(1st IF)のままRTL-SDRに引っ張り込めば、「LPF2段+電子同調のシャープなフィルター」がかかった高性能SDR・バンドスコープを構築できてしまうかもしれない


*1 筐体内に幾分余裕があるので内蔵は可能と思われる