国試対策 / 2007年12月期1・2アマ問題解説


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国試対策

2007年12月期1・2アマ試験問題の解説

日本無線協会より12月11日火曜日に試験問題と解答が公表されました.

いつもは2ちゃんねる上級ハム受験スレ
問題解説を投稿するのですが,今回は直接このページに書いていきます.
理由は,12月11日時点でアクセス制限(プロバイダ単位;_;)がかかっていたためです.

12月23日に作業終了しました.
間違いなどありましたら,コメント欄にお書きください.
連絡用ページ経由でも結構です.
(管理人さんにご迷惑がかかってしまいますが,見落としは減ると思います.)

目次


1アマ工学

A-1(正答:4)

ビオ・サバールの法則が出題されるのは久方ぶりではないでしょうか.
公式 ΔH=(IΔl)/(4πr^2) x sinθでθ=90°ですからsinθ=1.
したがってΔH=(IΔl)/(4πr^2) を選んで4番が正解.
θ=90°はH5/4,θ=45°はH7/10,θ=60°はH10/12出題.

A-2(正答:2)

点電荷により生じる電界の公式 E=1/(4πε0) x Q/(r^2) を用いて,
A点に置かれた点電荷により生じる電界とB点に置かれた点電荷に
より生じる電界とが互いに打ち消しあう場所を求める問題.
P点では 1/(4πε0) x (4x10^(-6))/(r^2) = 1/(4πε0) x (36x10^(-6))/((1-r)^2)
が成り立っている.整理すると 4/(r^2) = 36/((1-r)^2) となる.
36r^2 = 4(1-r)^2,9r^2=(1-r)^2.よって 3r=1-r か 3r=-(1-r).
4r=1でr=1/4か,2r=-1でr=-1/2.P点はA点とB点の間だから0≦r≦1.
よってr=0.25[m]で2番が正解.
H6/10,H13/8,H15/4,H16/12出題.


A-3(正答:3)

いかにも“キルヒホッフ則で解く問題”なのですが,何やら変です.
未知数が多すぎます.そこで問題をよく見ます.求めればいいのは
I3の大きさとVabの値です.「I3の大きさ」といっているのがミソで,
方向すなわちプラスマイナスは入ってないのですよね.これは
I1がI2とI3に分岐する(キルヒホッフの第1法則(電流則)より)
ので,I1=I2+I3を解けばよいです.4=2+I3でI3=2.1番2番は
脱落です.さて問題はVabです.うーん,R2もR3もV2もV3も分からないのに…
と悩んでいると,あることに気がつきます.これ,ab間の回路が何であれ,
求められるじゃん,と.つまり
10V+ --- 4Ω抵抗 --- a点 --- 何かの回路 --- b点 --- 10V-
と考えていいことが分かります.「何かの回路」は,今の場合は
R2,R3,V2,V3から出来ているわけですが,あえて今これをブラックボックスと
見てしまうことにしよう,というわけ.さて,この回路に流れる電流は
I1=2[A]です.ということは4Ω抵抗で 2x4=8[V]だけ電圧降下して
いるんだから,ab間の電圧すなわちVabは10-8=2[V].なあんだ,
えらく難しそうに見せかけて,こけおどしでしたw.
めでたく正解の3番にたどりつきました.
これは新問でしょう.R2,R3,V2,V3に惑わされず,ab間の回路を
ブラックボックスとみなせるかどうかがポイントです.
学校で電気回路を習った人はすぐ分かるでしょうが,
アマチュア向けには辛い出題じゃないかなあ.

A-4(正答:3)

Qまで問うてくるとはなかなか硬派な.順に解きましょう.
共振周波数を求めるときは抵抗は関係ありませんので
公式 f = 1/(2π√(LC)) を使いましょう.fとLがわかって
いますから,C=…の式に変形しましょう.√(LC) = 1/(2πf),
LC = 1/(2πf)^2,C = 1/(L(2πf)^2)ですね.f=7050x10^3,
L=2x10^(-6)をいれて解きましょう.
C=1/(2x10^(-6)x(2x3.14x7050x10^3)x(2x3.14x7050x10^3))
=1/(2x(2x3.14x7050)x(2x3.14x7050))≒1/(2x44300x44300))
≒1/(3.92x10^9)=0.255x10^(-9)=255x10^(-12)=255[pF].
(うーん,有効数字3桁で計算しないといけないのか…)
さて,この255[pF]というのはCv+Cの値(並列接続だから)
のことですから,C=100[pF]を引いてCv=255-100=155[pF]
ということになります.正解は2番か3番です.
さてQですが,ここはあっさり公式Q=ωL/Rを使って解きましょう.
Q=ωL/R=2πf=(44.3x10^6x2x10^(-6))/2=88.6/2=44.3.
ということで3番が正解.

A-5(正答:5)

RLC並列回路の複素インピーダンスを求めて,複素量のIを
求める問題.コイルLの複素リアクタンスはXL=j100,
コンデンサCの複素リアクタンスはXC=-j20です.
これが並列に接続しているので,電気の通しやすさの足し算に
なります.すなわち抵抗やリアクタンスの逆数の和が
合成インピーダンスの逆数になります.
1/Z=1/R+1/XL+1/XC.1/R=1/25,1/XL=1/(j100)=-j/100,1/XC=1/(-j20)=j/20.
したがって1/Z=1/25+j(-(1/100)+1/20)=1/25+j(-(1/100)+5/100)=1/25+j(1/25).
V=IZですからI=V/Z=100x(1/25+j(1/25))=4+j4.ということで5番が正解.

A-6(正答:1)

可変容量ダイオードの知識を問う問題.
(1) PN接合ダイオードに[逆方向]電圧を加えると,PN接合部の
境界面にキャリアの存在しない空乏層ができる.この層は絶縁
層と考えることができ,P極とN極を電極とする一種のコンデン
サを形成する.このダイオードは[バラクタ]ダイオードとも呼
ばれている.
(2) PN接合ダイオードに加える[逆方向]電圧を増加させるほど
空乏層の幅は広くなるので,静電容量は[小さく]なる.したが
って,このダイオードに加える電圧によって静電容量を変化さ
せることができる.

A-7(正答:5)

サーミスタの知識を問う問題.
(1) サーミスタは,マンガン,ニッケル,コバルト,チタン酸
バリウムなどの酸化物を混合して焼結した[半導体]素子で,素
子の温度が変化すると[抵抗値]が変化し,その変化率は金属に
比べて非常に大きい.
(2) サーミスタには,その特性によりPTCサーミスタやNTCサー
ミスタなどがある.そのうち,PTCサーミスタの温度係数は
[正]であり,この性質を利用して温度センサーや電流制限素子
などに用いられている.
PTCとかNTCとかは初めてみる用語です.PとかNとかから勘が
働いた人は解けたかもしれませんね.
(P→Positive→正,N→Negative→負)
ちなみに Wikipedia によれば
PTC は Positive Temperature Coefficient,
NTC は Negative Temperature Coefficient
だそうです.


A-8(正答:4)

簡易等価回路では ic=hf x ibが成り立つところがポイント.
vi=ib x hi, vo=ic x RL=hf x ib x RL なので
A=-vo/vi=-(hf x ib x RL)/(ib x hi)=-(hf x RL)/hi.
ということで4番が正解.

A-9(正答:3)

最近はこういうデジタル通信系統の問題が必ず出ますね.
「アナログ信号を標本化周波数8000[Hz]で標本化し」とは,
「1秒間に8000個のデジタルデータができる」ということで,
「8ビットで量子化」とありますから,「1秒間に8000x8=64000個
のビットデータができる」ということです.これすなわち
ビットレートのこと.3番が正解.

A-10(正答:2)

回路の名称を問う問題.暗記問題です.このパターンはフォスター
シーリー回路か比検波回路か,なのですが,選択肢には比検波回
路しかありません.ということで2番が正解.ちなみにフォスター
シーリー回路と比検波回路が両方選択肢にあったら,ダイオード
の向きで見分けます.同じ向きはフォスターシーリー,違う向きは
比検波回路.

A-11(正答:3)

寄生振動の知識を問う問題.
(1) 寄生振動は,増幅器の入出力間の不要な結合によって[発振]
回路を形成することにより生じる.
(2) 寄生振動が生ずると,占有周波数帯幅が[広がって]他の通信
に妨害を与えたり,ひずみや雑音の原因になる.
(3) 寄生振動を防ぐには,増幅器や部品を遮へいして回路間の結
合量を[小さく]するなどの方法がある.

A-12(正答:3)

SSB(J3E)送信機における,周波数混合によって望みの周波数まで
高めるための理屈を問う問題.
第2局部発振器の周波数をf0とすると,
中心周波数4500[kHz]のUSBを周波数混合回路に通すことで,
中心周波数がf0+4500[kHz]のUSBとf0-4500[kHz]のLSBができます.
これを第2帯域フィルタを通して
中心周波数7055[kHz]のLSBを得た,といっているのですから,
f0-4500=7055が成り立ちます.
f0=7055+4500=11555[kHz]で正解は3番.
1.5kHzを足した選択肢を作って,搬送波周波数と
混乱させることを狙っているのがいやらしいなあ.


A-13(正答:1)

インターフェア対策の基礎知識を問う問題.
(1) アマチュア局の基本波がFM受信機やテレビ受像機の入力段
に加わらないようにするため,図に示すような周波数特性をも
つ[高域]フィルタをFM受信機やテレビ受像機のアンテナと給電
線の間に挿入する.
(2) これによって,フィルタのカットオフ周波数以下のアマチ
ュア局の短波(HF)帯の基本波の周波数成分を[減衰]させ,これ
以上のFM受信機やテレビ受像機の受信周波数を[通過]させて,
電波障害対策を行うものである.
1番が正解.「高域フィルタ」「低域フィルタ」はそれぞれ
「高域通過フィルタ」「低域通過フィルタ」の略だと覚えまし
ょう.High-Pass Filter, Low-Pass Filter の訳語ですから.

A-14(正答:2)

A1A受信機の回路構成を問う問題.でもA1AってAMっていうのか?
シングルスーパーのようですね.Aは周波数混合器,ここで
中間周波数に変換.IFTを通って検波ですが,A1A波は搬送波の
あるなしですから,BFO(うなり発振器)がないと音として聞こえ
ません.Bは検波器,CはBFO.ということで2番が正解.

A-15(正答:5)

周波数弁別器の知識を問う問題.
周波数弁別器は,[周波数]の変化を[振幅]の変化に変換して,
音声信号波やその他の信号波を検出する回路である.この
周波数弁別器は[FM]波の復調に用いられており,
代表的なものに[フォスターシーリー]回路がある.
答えは5番.ところでアームストロング回路って何でしょう
ね?エドウィン・アームストロングさんは再生検波やスーパ
ーヘテロダイン方式,FM変調の発明者として知られています
が,どれかの回路をアームストロング回路というのでしょうか…

A-16(正答:2)

受信機の特性を示す用語の知識を問う問題.
(1) 感度とは,どの程度の微弱な電波まで受信できるかの能力
を表すもので,受信機を構成する各部の利得等によって左右さ
れるが,大きな影響を与えるのは,[高周波]増幅器で発生する
[熱雑音]である.
(2) 選択度とは,受信しようとする電波を,多数の電波のうち
からどの程度まで分離して受信することができるかの能力を表
すもので,主として受信機を構成する同調回路やフィルタの
[せん鋭度(Q)]などによって定まる.
正解は2番.実際の受信機はこんな風に単純なものではない,
と思われる向きもあるかと思いますが,これはもう試験に受か
るためと黙って暗記するしかないと思われます.

A-17(正答:4)

ダイオードブリッジによる全波整流回路の問題.1番が正常なと
きの出力ですね.これでD3のダイオードが断線すると,
入力電圧が正のときは,出力のマイナス側からD2を通って
入力端子に帰っていくルートがありますが,入力電圧が負になっ
たとき,出力のプラス側に電気が来なくなります.したがって
出力電圧は4番のグラフのようになります.


A-18(正答:5)

ツェナーダイオードによる定電圧回路の問題.ツェナーダイオー
ドは,流れる電流の大きさによらず,常に一定の電圧降下が
生じるように,みずからの見かけの抵抗値を変えて調整する
素子,ということができます.したがってDzに流れる電流をIzと
書けば,IL がさまざま変化しても,常に Iz+ILが同じ電流になる
ように保たれます.ただし,ツェナーダイオードにたくさん電流を
流すと,抵抗にたくさん電流を流したときと同様,発熱しますので,
素子によって流せる電流の最大値が決まっています.この問題の場合,
許容電力が3[W]ということは P=VIより 3=12xI,I=0.25[A}となって,
すなわち Iz の最大値は 0.25[A]=250[mA] ということになります.これは
ILが0,つまりRLが無限大(=負荷がつながれていない)のときに,
Izが0.25[A]となるように安定抵抗Rの値を決めないといけないとい
うことです.さらに入力の電圧が24[V]ということから,Rでは
常に12[V]の電圧降下が起きていなければなりません.オームの法則
より R=V/I=12/0.25=48[Ω]と求まります.正解は5番です.

A-19(正答:4)

半波長ダイポールアンテナの実効長の公式le=λ/π=(3x10^8)/(πf)と,
受信機の入力端子電圧の公式Vi=(E x le)/2を使って解く問題.
le = (3x10^8)/(3.14x10.1x10^6) = 0.0946 x 10^2 = 9.46[m].
Vi = (30x10^(-3) x 9.46) / 2 = 142 x 10^(-3)[V] = 142[mV].
正解は4番.

A-20(正答:1)

キュビカルクワッドアンテナの知識を問う問題.
(1) キュビカルクワッドアンテナは,一辺の長さが1/4波長で
全長がほぼ1波長の四角形ループの放射器と,全長が放射器よ
り数パーセント[長い]四角形ループの反射器とを0.1〜0.25
波長の間隔で配置したアンテナである.
(2) キュビカルクワッドアンテナの指向特性は,ループの面と
[直角]の方向が最大であり,また,放射される電波は,[水平]
偏波である.
正解は1番.空中線に関する問題は暗記勝負,の印象があります.

A-21(正答:4)

SCFM方式のファクシミリの問題.暗記問題です.誤り(つまり
正解)は4番.他には直接周波数変調(FM)方式と周波数偏移(FS)
変調方式がありますが,下のような表にしてセットで覚えるのが
いいでしょう.

方式名中間調所要周波数帯域S/N比その他
副搬送波周波数変調(SCFM)方式広い悪いAM送信機がそのまま使える
直接周波数変調(FM)方式SCFMより狭いよい
周波数偏移(FS)変調方式×非常に狭いよい

A-22(正答:4)

正割の法則の出題も久しぶりではないでしょうか…おっと,この
形式では新問ですね.この問題では公式が与えられていますが,
公式そのものを答えさせる問題はH3/4,H4/10,H7/4に出題があります.
まあ secθ=1/cosθであることさえ覚えていれば,公式が
与えられていますから,落ち着いて考えれば解けます.
さて,fm=fc secθですから fc = fm cosθなのですね.
図よりcosθは,垂直高/斜辺長ですね.垂直高は400[km],
斜辺長は三平方の定理より,√((600/2)^2+400^2)=500[km]です.
(3:4:5の直角三角形であることが分かれば計算の必要もありませんね.)
よってcosθ=400/500=4/5.fc = 17.5 x 4 / 5 = 3.5 x 4 = 14[MHz].
正解は4番.


A-23(正答:5)

電離層の知識を問う問題.暗記問題.
1番は正しい.D層が60〜90[km],E層が100[km],F層が200〜400[km]と覚える.
2番は正しい.一般に上にある電離層ほど電子密度は大きい.
3番は正しい.電子密度は太陽活動に大きく影響を受ける.
4番は正しい.F層は時間に加えて季節の影響を受ける.夏大,冬小.
5番は誤り(つまり正解).太陽黒点数の多い年は,電子密度は大きくなる.

A-24(正答:3)

SWRを求める問題.電力が与えられているときの公式は
SWR=(√Pf+√Pr)/(√Pf-√Pr).値を代入して
√Pf=√900=30,√Pf=√100=10より
SWR=(30+10)/(30-10)=40/20=2.正解は3番.

A-25(正答:4)

熱電対形電気計器の知識を問う問題.
熱電対形は,通常,熱電対と[可動コイル]形計器を組み合わせて
指示電気計器を構成する.高周波電流も直接[実効値]を測定できる.
また,そのとき,目盛りは[2乗]目盛になる.
正解は4番.測定器も暗記あるのみ.

B-1(正答:2,2,2,1,1)

アは誤り(2).圧電(ピエゾ)効果. ピエール・キュリー
さんが発見したのでピエゾの名がある,とか,ピエール・キュ
リーさんはかの有名なキュリー夫人の旦那さんで,などという
トリビアは試験にでないw.
イは誤り(2).ホール効果.磁気を検出する素子でホール素
子というのがある.
ウは誤り(2).表皮効果.
エは正しい(1).
オは正しい(1).ゼーベック効果(温度差→電流)と
ペルチェ効果(電流→温度差)は対でおぼえるべし.

B-2(正答:7,2,1,3,9)

(1) ゲート電圧でドレイン[電流]を制御する[電圧]制御型の素子である.
(2) 入力インピーダンスは[高く],また,雑音が少なく,熱暴走は起き[にくい].
(3) ゲート電圧は[逆方向]に加えられる.
バイポーラトランジスタ(普通のトランジスタ)は,ベース電流でコレクタ
電流を制御する電流制御型の素子,入力インピーダンスは比較的低い,ベー
ス電流は順方向に流す,ぐらいを対にして覚えておくといいでしょう.
熱暴走を起こしにくいとか,ゲート電圧は逆方向に加えるとかいう
知識を問う問題は始めてではないでしょうか.


B-3(正答:1,2,8,4,10)

(1) 電圧増幅度Avの大きさは,約[1]である.
(2) 入力電圧と出力電圧の位相は,[同相]である.
(3) 入力インピーダンスは,エミッタ接地増幅回路と比べて[高い].
(4) この回路は,[コレクタ]接地増幅回路ともいう.
(5) この回路は,[インピーダンス]変換回路としても用いられる.
エミッタホロワ増幅回路は頻出問題.ばっちり覚えましょう.
…と問題集を見ると,およよ,これは2アマ系の問題なのですね.
1アマ試験ではあまり出ていないパターンのようです.

B-4(正答:9,7,1,8,5)

(1) 局部発振周波数 fL が受信周波数 fR よりも中間周波数 f1
だけ高い場合は,[fL-fR] = f1 となる.一方,fL よりさらに
f1 だけ高い周波数 fU の到来電波は,[周波数変換器]の出力
において,[fU-fL] = f1 の関係が生じて同じ中間周波数 f1
ができ,影像周波数の関係となって,希望波の受信への妨害と
なる.
(2) 局部発振周波数 fL が受信周波数 fR よりも低い場合,
影像周波数妨害を生ずるのは fU = [fL-f1]のときである.
(3) 影像周波数妨害を軽減するためには,中間周波数を
高く選び,高周波増幅器の選択度を向上させるなどの対策
が有効である.
イメージ混信も頻出問題ですね.S63/10,H7/10,H12/12,H14/12など.

B-5(正答:5,1,7,8,9)

(1) スペクトルアナライザは,信号に含まれる[周波数
成分ごとの振幅]を観測できる.
(2) オシロスコープは,信号の[波形]を観測できる.
(3) オシロスコープの表示器の横軸は時間軸を,またス
ペクトルアナライザの表示器の[横軸]は周波数軸を表す.
(4) スペクトルアナライザは分解能帯域幅を所定の範囲
で任意に変えることが[できる].
(5) レベル測定に用いた場合,感度が高く,より弱い信
号レベルの測定ができるのは,[スペクトルアナライザ]
である.
スペクトルアナライザの知識を問う問題は新出ではない
でしょうか.「周波数成分ごとの位相」なんて選択肢を
見ると,ネットワークアナライザの出題もそのうちある
のでしょうか.(5) の解答は一見ちょっと意外.

感想

今回は計算尺もっていくメリットがある試験でしたねw.どんぴしゃの
数字を出すには有効数字3けたで計算する必要があるものが多かった
です.大型のいい計算尺使わないと難しいかな.
その一方で暗記問題もがつーんと出てますね.
ちゃんとまじめに勉強しましたか,問題集で昔の問題もおさらいしまし
たか,近年の過去問の暗記だけじゃだめですよ,という出題者のメッセ
ージが感じられます.

コメント欄


1アマ法規

A-1(正答:1)

5番がひっかけ選択枝ですね.
根拠となる法令は以下の通り.

3 次の各号のいずれかに該当する者には,無線局の免許を与えな
  いことができる.
 一 この法律または放送法([略])に規定する罪を犯し罰金以上
   の刑に処せられ,その執行を終わ''り,またはその執行を受け
   ることがなくなった日から2年を経過しない者.
 二 ...[略]...第76条第3項(第4号を除く.)もしくは...
   [略]...の規定により無線局の免許の取消しを受け,その取
   消しの日から2年を経過しない者.
(法5条3項1号,同2号)

A-2(正答:2)

根拠となる法令は以下の通り.

2 免許状には,次に掲げる事項を記載しなければならない.
 二 免許人(無線局の免許を受けた者をいう.以下同じ.)の氏
   名又は名称および住所
(法14条2項2号)

免許人は,免許状に記載された事項に変更を生じたときは,その
免許状を総務大臣に提出し,訂正を受けなければならない.
(法21条)

A-3(正答:3)

根拠となる法令は以下の通り.

総務大臣は,免許人または第8条の予備免許を受けた者が
 識別信号,
 電波の形式,周波数,
 空中線電力または
 運用許容時間
の指定の変更を申請した場合において,混信の除去その他特に必要
があると認めるときは,その指定を変更することができる.
(法19条)

A-4(正答:4)

根拠となる法令は以下の通り.

免許人は,その無線局を廃止するときは,その旨を総務大臣に届け
出なければならない.
(法22条)

免許人が無線局を廃止したときは,免許は,その効力を失う.
(法23条)

免許がその効力を失ったときは,免許人であった者は1箇月以内に
その免許状を返納しなければならない.
(法24条)

無線局の免許等がその効力を失ったときは,免許人等であった者は,
遅滞なく空中線を撤去しなければならない.
(法78条)

次の各号のいずれかに該当するものは,30万円以下の罰金に処する.
 十八 第78条の規定に違反した者.
(法113条18号)

A-5(正答:3)

根拠となる法令は以下の通り.

受信設備は,その副次的に発する電波または高周波電流が,総務省
令で定める限度をこえて他の無線設備の機能に支障を与えるもので
あってはならない.
(法29条)

法29条に規定する副次的に発する電波が他の無線設備の機能に支障
を与えない限度は,受信空中線と電気的常数の等しい疑似空中線回
路を使用して測定した場合に,その回路の電力が4ナノワット以下
でなければならない.
(設備規則24条1項)

受信設備は,なるべく左の各号に適合するものでなければならない.
 一 内部雑音が小さいこと.
 二 感度が十分であること.
 三 選択度が適正であること.
 四 了解度が十分であること.
(設備規則25条)

A-6(正答:5)

3桁目が E なのにファクシミリ,というところで誤りとわかる.フ
ァクシミリなら C でないといけない.ちなみに左の記述に対応する
略号は R3C となる.
根拠は電波法施行規則4条の2.とても全部は覚えきれないのだが,
だいたいファクシミリがからむことが多い.とくに3桁目をFとして
ファクシミリというパターンがよく出る.ちなみに F はテレビジョ
ン.あと A(人が聞く電信)と E (電話)は必ず覚えておこう.
A1AがCW,A3EがAM,J3EがSSB,F3EがFM,というのはいいですね?

A-7(正答:2)

A1A の 0.5KHz はなじみのある数字ですが,
F1BだのF2Aだのというところは,あまりぴんと来ませんね.
根拠となる法令は以下の通り.

発射電波に許容される占有周波数帯幅の値は,別表第2号に定める
とおりとする.
(設備規則6条)

★別表2号によれば,アマチュア局における占有周波数帯幅の値は,
電波の形式ごとに,以下の通りとなる.

A1A A1B A1D 0.5KHz
A2A A2B A2D 2.5KHz
A3E 6KHz
F1B F1D 2KHz
F2A F2B F2D 3KHz
F3E 30KHz (430MHz帯), 40KHz(28,50,144MHz帯)
        【1200MHz以上は規制なし】
H2A H2B H2D H2X 1.5KHz
H3E 3KHz
J3E 3KHz
R3E 3KHz

A-8(正答:2)

根拠となる法令は以下の通り.

周波数をその許容偏差内に維持するため,送信装置はできる限り
源電圧または負荷の変化によって発振周波数に影響を与えないもの
でなければならない.
2 周波数をその許容偏差内に維持するため,発振回路の方式は,
できる限り外囲の温度もしくは湿度の変化によって影響を受けない
ものでなければならない.
3 移動局(移動するアマチュア局を含む.)の送信装置は,実際
上起こり得る振動または衝撃によっても周波数をその許容偏差内に
維持するものでなければならない.
(設備規則15条)

A-9(正答:1)

目的外通信はまず間違いなく毎回出ていますので,ともかく正確に
暗記すべきです.
根拠となる法令は以下の通り.

無線局は,免許状に記載された目的または通信の相手方もしくは通
信事項(...[略]...)の範囲を越えて運用してはならない.ただし,
次に掲げる通信については,この限りでない.
 一 遭難通信(...[略]...)
 二 緊急通信(...[略]...)
 三 安全通信(...[略]...)
 四 非常通信(地震,台風,洪水,津波,雪害,火災,暴動その
   他非常の事態が発生し,または発生するおそれがある場合に
   おいて,有線通信を利用することが著しく困難であるときに
   人命の救助,災害の救援,交通通信の確保または秩序の維持
   のために行われる無線通信をいう.以下同じ.)
 五 放送の受信
 六 その他総務省令で定める通信
(法52条)

無線局を運用する場合においては,無線設備の設置場所,識別信号,
電波の形式および周波数は,免許状等に記載されたところによらな
ければならない.ただし,遭難通信については,この限りでない.
(法53条)

無線局を運用する場合においては,空中線電力は,次の各号の定め
るところによらなければならない.ただし,遭難通信については,
この限りでない.
 一 免許状等に記載されたものの範囲内であること
 二 通信を行うため必要最小のものであること
(法54条)

無線局は,免許状に記載された運用許容時間内でなければ,運用し
てはならない.ただし,第52条各号に掲げる通信を行う場合及び総
務省令で定める場合は,この限りでない.
(法55条)

次の各号のいずれかに該当する者は,1年以下の懲役または100万円
以下の罰金に処する.
 四 第52条,第53条,第54条第1項または第55号の規定に違反して
   無線局を運用した者.
(法110条4号)

A-10(正答:3)

呼出しの仕方の問題は,この「特定局あて一括呼出し」か
「(CQによる)一括呼出」のどちらかが必ず出る
といってよいので, 確実に暗記しましょう.
特定局あて一括呼出し:H8/4,H9/8,H10/8,H11/8,H12/4,H12/12,H13/12,H14/12,H15/12
CQによる)一括呼出し:H7/10,H9/4,H9/12,H10/12,H11/12,H13/8,H14/8,H15/8,H16/8
根拠となる法令は以下の通り.

二以上の特定の無線局を一括して呼び出そうとするときは,
次に掲げる事項を順次送信して行なうものとする.
 一 相手局の呼出符号(または識別符号) それぞれ2回以下
 二 DE                1回
 三 自局の呼出符号           3回以下
 四 K                 1回
(運用規則127条の3)

【参考:一括呼出】
免許状に記載された通信の相手方である無線局を一括して呼び出そ
うとするときは,左の事項を順次送信するものとする.
 一 CQ      3回
 二 DE      1回
 三 自局の呼出符号 3回以下
 四 K       1回
(運用規則127条1項)

A-11(正答:4)

根拠となる法令は以下の通り.

無線局は,無線機器の試験または調整のため電波の発射を必要とす
るときは,発射する前に自局の発射しようとする電波の周波数およ
びその他必要と認める周波数によって聴守し,他の無線局の通信に
影響を与えないことを確かめた後(以下略)
(運用規則39条1項(抜粋))

A-12(正答:1)

穴埋めの場所は出題により変わります.懲役や罰金の数字を聞いて
くる問題もあります.要は全文ちゃんと暗記して
きなさいよ,という出題意図がうかがえます.
H7/10,H8/4,H8/10,H9/8,H11/12,H12/12,H13/8,H15/4,H16/4.
根拠となる法令は以下の通り.

電気通信業務または放送の業務の用に供する無線局の無線設備
  または
 人命のもしくは財産の保護,
 治安の維持
 気象業務,
 電気事業に係る電気の供給の業務,もしくは
 鉄道事業に係る列車の運行の業務
の用に供する無線局の無線設備
を損壊し,またはこれに物品を接触し,その他その無線設備の機能
に障害を与えて無線通信を妨害した者は,
5年以下の懲役または250万円以下の罰金に処する.
2 前項の未遂罪は,罰する.
(法108条の2)

A-13(正答:1)

根拠となる法令は以下の通り.

総務大臣は,無線局の発射する電波の質が第28条の総務省令で定め
るものに適合していないと認めるときは,当該無線局に対して臨時
電波の発射の停止を求めることができる.
2 総務大臣は,前項の命令を受けた無線局からその発射する電波
の質が第28条の総務省令の定めるものに適合するに至ったとの申出
を受けたときは,その無線局に電波を試験的に発射させなければな
らない.
3 総務大臣は,前項の規定により発射する電波の質が第28条の総
務省令で定めるものに適合していると認めるときは,ただちに第1
項の停止を解除しなければならない.
(法72条)

次の各号のいずれかに該当する者は,1年以下の懲役または100万円
以下の罰金に処する.
 六 第72条第1項または第76条第1項(*)の規定によって電波
   の発射または運用を停止された無線局...[略]...を運用した
   者.
   (*) 総務大臣は,免許人等が電波法,放送法もしくはこれ
     らの法律に基づく命令またはこれらに基づく処分に違反
     したときは,3箇月以内の期間を定めて無線局の運用の
     停止を命じ,または期間を定めて運用許容時間,周波数
     もしくは空中線電力を制限することができる.
(法110条6号)

A-14(正答:5)

期間を決めて制限されるのは「運用許容時間」「周波数」
「空中線電力」の3つ.1番や2番の設問はもろひっかけ.
3番4番も別に規定があるので迷う人も多いでしょう.
試験は法律の意味を問うているのでなく,あくまで字面合わせ
を問うてきます.正確な条文の丸暗記が重要です.
…でもいやらしい問題だよなあこれ.
根拠となる法令は以下の通り.

総務大臣は,免許人等がこの法律,放送法もしくはこれらの法律に
基づく命令またはこれらに基づく処分に違反したときは,3箇月以
内の期間を定めて無線局の運用の停止を命じ,...[略]...,または
期間を定めて運用許容時間,周波数もしくは空中線電力を制限する
ことができる.
(法76条1項)

【参考:3番の設問が「免許の取り消しの処分」だったら正解】
3 総務大臣は,免許人([略])が次の各号のいずれかに該当する
ときは,その免許を取り消すことができる.
 三 第1項の規定による命令または制限に従わないとき.
(法76条3項3号)

【参考:空中線の撤去に関する条文】
無線局の免許等がその効力を失ったときは,免許人等であった者は,
遅滞なく空中線を撤去しなければならない.
(法78条)
次の各号のいずれかに該当するものは,30万円以下の罰金に処する.
 十八 第78条の規定に違反した者.
(法113条18号)

A-15(正答:4)

根拠となる法令は以下の通り.

総務大臣は,無線従事者が左の各号の一に該当するときは,その免
許を取消し,または3箇月以内の期間を定めてその業務に従事する
ことを停止することができる.
 一 この法律もしくはこの法律に基づく命令またはこれらに基づ
   く処分に違反したとき.
 二 不正な手段により免許を受けたとき.
 三 第42号第3号(*)に該当するに至ったとき.
   (*) 著しく心身に欠陥があって無線従事者たるに適しない者.
(法79条1項)

A-16(正答:5)

根拠となる法令は以下の通り.

社団(公益法人を除く.)であるアマチュア局の免許人は,その
および理事に関し変更しようとするときは,あらかじめ総合通信
局長に届けなければならない.
(施行規則43条の4)

【細かい話ですが】
出題には「総合通信局長(沖縄…を含む.)」とあるのに,
上の条文にはただ「総合通信局長」とあるだけですが,これは
施行規則9条に「総務大臣または総合通信局長(沖縄総合通信
事務局長を含む.以下同じ.)」とあるので,省略されている
ということなのです.

A-17(正答:3)

上級ハム試験に出題される国際法規の条文は,「新・上級ハムになる本」
を参照するのが一番よいです.とくに最近アマチュア局に関する規定が
変わりましたから,古い参考書や問題集を使うときは要注意です.
根拠となる法令は以下の通り.

構成国は,国際通信の秘密を確保するため,使用される電気通信のシ
ステムに適合するすべての可能な措置をとることを約束する.
(憲章184[37条1])

A-18(正答:4)

試験に出てくるのはこのぐらいです.どの数字も比較的
半端がないので,覚えやすいと思います.

 1800kHz -  2000kHz
 3500kHz -  3900kHz
 7000kHz -  7100kHz
10100kHz - 10150kHz
14000kHz - 14350kHz
18068kHz - 18168kHz
21000kHz - 21450kHz
24890kHz - 24990kHz
  28MHz - 29.7MHz
  50MHz -   54MHz
 144MHz -  146MHz
 430MHz -  440MHz
1260MHz - 1300MHz

日本の属する第3地域(アジア太平洋地域)において
7000kHz-7100kHzが7000kHz-7300kHzに拡大されるのは
2009年3月29日からのようです.(世界無線通信会議
WRC-03での決定による.)
WRC-07 で135.7kHz-137.8kHzが二次分配としてアマ
チュア業務への分配が決定しましたが,施行がいつに
なるかは不明です.

A-19(正答:1)

手元の資料の条文と異なっていますので,解答に従って
書き下してみます.過去問の文章とも変わっています.
公式の日本語訳に変更があったのでしょうか.

「有害な混信」とは,無線航行業務その他の[安全業務]
の運用を[妨害]し,または無線通信規則に従って行う
無線通信業務の運用に重大な悪影響を与え,もしくはこ
れを[反覆的に中断]しもしくは[妨害]する混信をいう.

【参考:アマチュア局用電波法令抄録(CQ出版社)に記載された条文】
【新・上級ハムになる本もほぼ同じ.】
有害な混信
 無線航行業務その他の安全業務の機能を害し,またはこの規則に
従って行われる無線通信業務の運用を著しく低下させ,妨害し,も
しくは反復的に中断する混信
(S1.169)

A-20(正答:5)

うーん,こちらは変わってませんねえ…
根拠となる法令は以下の通り.

標準周波数報時義務
 一般的受信のため,公表された高い精度の特定周波数,報時信号
 またはこれらの双方の発射を行う科学,技術その他の目的のため
 の無線通信業務
(S1.53)

B-1(正答:8,2,3,6,7)

一つの問題でえらくたくさんの条文にわたって問うてますね.
追いかけるのが大変でした.
根拠となる法令は以下の通り.

免許人は,
 通信の相手方,通信事項もしくは
 無線設備の設置場所を変更し,または
 無線設備の工事をしようとする
ときは,あらかじめ総務大臣の許可を受けなければならない.
2 第9条第1項ただし書,第2項および第3項の規定は,
前項の規定により無線設備の変更の工事をする場合に準用する.
(法17条)

前条の予備免許を受けた者は,工事設計を変更しようとするときは,
あらかじめ総務大臣の許可を受けなければならない.ただし,総務
省令で定める軽微な事項については,この限りでない.
2 前項ただし書の事項について工事設計を変更したときは,遅滞
なくその旨を総務大臣に届けなければならない.
3 第1項の変更は,周波数,電波の型式または空中線電力に変更を
きたすものであってはならず,かつ,第7条第1項第1号または第2項
第1号の技術基準(*)に合致するものでなければならない.
  (*) 工事設計が第3章[第28条〜第38条]に定める技術基準に適合すること.
[以下略]
(法9条)

前条第1項の規定により無線設備の設置場所の変更または無線設備
の変更の工事の許可を受けた免許人は,総務大臣の検査を受け,当
該変更また工事の結果が,同条同項の許可の内容に適合していると
認められた後でなければ,許可に係る無線設備を運用してはならな
い.ただし,総務省令で定める場合は,この限りでない.
2 前項の検査は,同項の検査を受けようとする者が,当該検査を
受けようとする無線設備について第24条の2第1項または第24条の13
第1項の登録を受けたものが総務省令で定めるところにより行った
当該登録に係る点検の結果を記載した書類を総務大臣に提出した場
合においては,その一部を省略することができる.
(法18条)

無線設備等の点検の事業を行う者は,総務大臣の登録を受けること
ができる.
(法24条の2,1項)

総務大臣は,前条第1項の登録を受けた者(以下「登録点検事業者」
という.)について[以下略].
(法24条の3)

外国において無線設備等の点検の事業を行う者は,総務大臣の登録
を受けることができる.
2 ...[略]...の規定は前項の登録を受けた者(以下「登録外国点
検事業者」という.)について[以下略].
(法24条の13)

B-2(正答:2,1,3,6,9)

定番の丸暗記問題.できましたか?
根拠となる法令は以下の通り.

電波法に基づく命令の解釈に関しては,別に規定せられるもののほ
か,次の定義に従うものとする.
 五十九 「周波数の許容偏差」とは,発射によって占有する周波
   数帯の中央の周波数の割当周波数からの許容することができ
   る最大の偏差または発射の特性周波数の基準周波数からの許
   容することができる最大の偏差をいい,百万分率またはヘル
   ツで表わす.
(施行規則2条59号)

B-3(正答:2,2,1,2,1)

根拠となる法令は以下の通り.

QRK?  こちらの信号(または[名呼]の信号)の明りょう度は
      どうですか?
QRP?  こちらは,送信機の電力を減少しましょうか?
QRU?  そちらはこちらへ伝送するものが(まだ他に)ありま
      すか?
QRZ?  誰がこちらを呼んでいますか?
QTH?  緯度および経度で示す(または他の表示による)そち
      らの位置は,何ですか.
(名呼...名称または呼出符号)
(運用規則別表2号より抜粋)

B-4(正答:2,2,1,1,2)

根拠となる法令は以下の通り.

無線従事者は,免許の取消しの処分を受けたときは,その処分を受
けた日から10日以内にその免許証を総務大臣または総合通信局長に
返納しなければならない.免許証の再交付を受けた後失った免許証
を発見したときも同様とする.
2 無線従事者が死亡し,または失そうの宣告を受けたときは,戸
籍法([略])による死亡または失そう宣告の届け出義務者は,遅滞な
く,その免許証を総務大臣または総合通信局長に返納しなければな
らない.
(従事者規則51条)

B-5(正答:6,5,2,9,7)

根拠となる法令は以下の通り.

すべての局は,不要な伝送,過剰な信号の伝送,虚偽のまたはまぎ
らわしい信号の伝送,識別信号のない信号の伝送を禁止する.
(S15.1)

送信局は,業務を満足に行うため必要な最小限の電力で輻射する.
(S15.2)

(混信を避けるために,)送信局の位置および業務上可能な場合に
は,受信局の位置は,特に注意して選定しなければならない.
(S15.3,S15.4)

(混信を避けるために,)不要な方向への輻射または不要な方向か
らの受信は,業務の性質上可能な場合には,指向性のアンテナ
をできる限り利用して,最小にしなければならない.
(S15.3,S15.5)

感想

1アマ試験らしい,細部まで問うてくるいやらしい問題が多かった
ように思います.B-1なんて完答できた人は少なかったんじゃないか
なあ.ていねいに勉強していないと難しい問題が多いと感じました.

コメント欄


2アマ工学

A-1(正答:4)

磁界があって電子の流れ(=電流)があって,どっちに力が働くか,
というのですから,フレミングの左手の法則ですね.中指,人指し指,
親指の順で,電磁力(電界,磁界,力)と覚えます.
電子の流れが左から右,ということは,電流はその逆ですから右から左,
中指を左に向け,磁界は上から下ですから人指し指を下に向ける,する
と親指は…自分のほうを指しますね.よって図では「右」のほうという
ことになって,4番が正解.

A-2(正答:5)

今度はフレミングの右手の法則,すなわち,磁界中で導体を動かすと
起電力が生じる,というやつですね.
(1) Dに[起電力]eが生ずる.これを[電磁誘導]現象という.
(2) eの大きさは,e=[Blv][V]である.
(2)が分からなくても正解にはたどりつけます.2アマの問題は
少しは易しいです.

A-3(正答:3)

共振回路に関する計算問題.
これは Z = L/(CR)という公式を覚えているかどうかで決まって
しまう問題です.C = L/(ZR) と変形して数値を代入.
C = 15x10^(-6)/(10x10^3 x 6) = 1/4 x 10^(-9) = 250 x 10^(-12)
=250[pF].3番が正解.この公式の暗記を問う問題は,私の調べ
られる過去問の範囲にはありません.新問といっていいと思いま
す.ちょっと2アマには酷じゃないかなあと思いましたが,
もっとも,実際の無線機では,コイルの直流抵抗分が無視で
きない並列共振回路は頻出するわけなので,この公式は常識だ,
といわれればそれなのかもしれません.でもこれは,公式を提
示して解かせたほうがいいんじゃないかな.
ちなみのこの“公式”は正確には近似式です.ちゃんとした
導出の過程は,「解説・無線工学」や「新・上級ハムになる
本」には載っておらず,古いほうの「上級ハムになる本」に
載っていました.
いやー,ただ公式を使うのも悔しいと,一生懸命公式を導こうと
がんばったのですがうまくいかず,上の本でやっと近似式である
ことがわかって,こりゃできないわけだ,と.すっかり時間を食
ってしまいました…

A-4(正答:5)

抵抗が消費する電力を求める計算問題.
R1 に流れる電流がわかれば P = I^2 R で解けます.R4 はこの
問題を解くには関係がありません.R1,R2,R3 の合成抵抗を求めて,
V = IR で I を求めていきます.まず R2 と R3 の並列接続の合
成抵抗をRx とすると,1/Rx = 1/R2 + 1/R3 = 1/60 + 1/120
= 2/120 + 1/120 = 3/120 = 1/40.よって Rx = 40[Ω].これと
R1 との合成抵抗を Ra とすれば Ra = R1 + Rx = 40 + 40 = 80[Ω].
したがって R1 に流れる電流は I = V/R = 120/80 = 1.5[A].
R1 で消費する電力は 1.5 x 1.5 x 40 = 90[W].5番が正解.

A-5(正答:4)

FET(電界効果トランジスタ)の図記号の知識を問う問題.
1は誤り.こちらが接合型FET(Nチャンネル)の図記号.
矢印が中向きならNチャネル,外向きならPチャネル.(MOS形も同じ)
2は誤り.こちらがMOS形FET(Nチャンネル,エンハンス
メント形)の図記号.
3は誤り.電極aはドレインである.
4は正しい(正解).ソースとドレインを結ぶ線が点線なのがエ
ンハンスメント形,実線なのがデプレッション形.

A-6(正答:1)

トランジスタの基礎を問う問題.
トランジスタの電極(1)(2)(3)について,(1)がコレクタで,(1)から(2)へ
導通があり,(1)から(3) に導通がないというので,(1)と(2)が隣り合う
電極であり,かつ(1)がP形,(2)がN形だということがわかります.
コレクタに隣り合う電極はベースですから,Aはベース,BはPNP,
ということで1番が正解.

A-7(正答:4)

ひずみ率の公式 K = √(E2^2 + E3^2) / E1 に数値をあてはめる問題.
K = √(4^2 + 3^2) / 50 = 5/50 = 1/10 = 10[%].4番が正解.

A-8(正答:5)

トランジスタの動作の基本を問う問題.
IC = hFE x IB = 150 x 40 x 10^(-6) = 6000 x 10^(-6)
= 6 x 10^(-3) = 6[mA].したがって1[kΩ]の抵抗では,
6 x 10^(-3) x 1 x 10^3 = 6[V]の電圧降下が起こってい
るから,VCE = 16 - 6 = 10[V].5番が正解.

A-9(正答:4) ~ [#ia5a780f]

RTTY(Radio TeleTYpe)の基礎知識を問う問題.
1は正しい.
2は正しい.
3は正しい.
4は誤り.1秒間に表せる短点の数,すなわち時間の逆数で表わす.
単位はボー.

A-10(正答:2)

アマチュア局が起こす電波障害の基礎知識を問う問題.
(1) テレビ受像機,ラジオ受信機及び電子機器などの被障害機器にア
マチュア局の送信電波による電波障害が発生することがある.その主
な原因として,アマチュア局の送信機から発射された電波の基本波と
不要輻射(スプリアス)によるものがある.電波障害の場合が基本波
の場合は,[被障害機器]側で対策を行うのが有効であるが,電波障害
の原因が不要輻射の場合は,[送信機]側で対策を行うのが有効である.
(2) 一方,被障害機器などがアマチュア局など無線局の電波による電
磁界の影響を,どの程度のレベルまで受けても電波障害を起こさない
能力をもっているかを示す指標を一般に[イミュニティ]という.
基本波は,無線機が発射したい電波ですから,無線機側で対策をとる
といっても,出力を弱くして肝心の通信ができないでは困ります.
幸い基本波の周波数はあらかじめわかるので,フィルタなどを用いて
被障害機器側で対策をとることができます.一方,不要輻射のほうは,
どの周波数の電波が出るかわからないので,被障害機器側で対策をと
ろうとするとコストがかかりすぎてしまいます.やはりここは無線機
が不要輻射を発射しないということが大事なので,無線機側の対策が
重要になるということです.イミュニティ(Immunity)は機器の誤動
作による事故を防ぐため,近年非常に重要になっている概念のようです.

A-11(正答:2)

デジタル伝送方式の特徴を問う問題.
(1) デジタル伝送では,信号を標本化(サンプリング)して,
[量子化]および符号化を行いデジタル信号に変換して伝送す
るため,信号の劣化が少ない.
(2) 信号を[圧縮]し,不要な情報を低減して伝送することに
より,占有周波数帯幅を狭くできるので,周波数利用の効率
化が図れる.
(3) デジタル信号に変換された音声,画像及びデータ等の情
報を効率的に伝送する方法として,[多重化]などがある.
まあどれももう一方の言葉を入れたら意味が通じませんから,
常識で解けるかな?Cの「多重化」はなじみがない言葉かも
しれませんが,AとBが分かれば選択肢は1つに定まるので
大丈夫ですね.ちなみに「多重化」は,たとえば10秒分の音
声情報をデジタル信号にしたら,1秒分で送れるデータにな
っちゃう,ということがあるので,残りの9秒分で動画像情
報を送っとこうか,というノリの技術ですw.

A-12(正答:3)

受信機の障害の種類の名称を答える問題.
1は調査中.どうやら局部発振器の周波数が,まわりの回路と
異常結合を起こして別の周波数に変わってしまい,正しい中間周波
数に変換できなくなることによる生じる障害,のようです.
2は受信したい電波の周波数に対して,それより中間周波数の2倍
大きいか小さい周波数(影像周波数,イメージ周波数)の電波が周
波数変換部で同じ中間周波数の電波に変換されてしまうことから生
じる受信障害.
3が正解.
4は周波数変換部にて入力信号の周波数を中間周波数に変換するとき,
入力が過大だと局部発振器の発振周波数が変化してしまい,中間周波
数への変換が正しく行われなくなることにより生じる障害.
5は受信した電波の周波数を周波数変換部で変換した結果,中間周
波数からずれた周波数に変換されてしまうことに起こる障害.

A-13(正答:1)

FM(F3E)受信機のブロックダイヤグラムについての問題.
IDC回路は送信機で登場する回路ですからAは局部発振器.
あとは振幅制限器が先か周波数弁別器が先かですが,
周波数弁別器で周波数の変化を振幅の変化に直すわけ
ですから,そのあとに振幅制限器がくるというのは
おかしいですね.ですからBが振幅制限器,Cが周波数
弁別器と決まります.1番が正解.

A-14(正答:3)

インバーテッドVアンテナの知識を問う問題.
(1) このアンテナは,水平半波長ダイポールのエレメントの
[中心]にある給電点部分を頂点にして,それぞれのエレメン
トを大地に向かって傾斜させたもので,ちょうどVの字を逆
にしたような形状であり比較的狭い敷地でも建設が容易である.
(2) アンテナの[電流]分布は,給電点の部分が最大になり,
給電点部分の頂点の角度を狭く(小さく)すると給電点のイ
ンピーダンスは[低く]なる.なお,水平面指向特性は,給電
点の高さが等しい水平半波長ダイポールとほぼ同じであるが,
エレメントが傾斜していることによる影響を若干受けること
がある.
選択肢にはちょっと引っ掛けがあります.Aの「中心」はま
あ間違えないでしょう.給電点が端にあったらツェップアン
テナとかですもんね.で,それを選ぶと,Bに「電流」が
くる選択肢が1つ,「電圧」がくる選択肢が2つ,となって,
うっかり「電圧」を選んでしまった人がいたかも.電圧分布
は給電点で最小(0),両端で最大になります.V字を深く
するとインピーダンスが下がる,というのは,経験者ならよ
くご存知ですね,半波長ダイポールのインピーダンスは約72Ω.
これを,V字の角度を調整して,同軸ケーブルの特性インピ
ーダンス50Ωあたりに調整できる.あとは1:1バランを使って
不平衡-平衡変換をすればよい…などなど.

A-15(正答:2)

アマチュア衛星の基礎知識を問う問題.
間違いは2番(つまり正解).これは逆ですね.つまり静止衛
星のアマチュア衛星は現在ひとつもありません.地上から衛星
への通信回線がアップリンク,アップリンクとダウンリンクの
周波数は組合せが決まっていてトランスポンダがその中継を担
う,ただし衛星は高速で動いているため,みかけの送受信の周
波数はドップラー効果によって刻々と変わってしまう…ぐらい
が必須の知識でしょうか.

A-16(正答:1)

電離層の基礎知識を問う問題.
誤っているのは1番(つまり正解).電離層の電子密度が高く
なると,臨界周波数は高くなる.つまり高い周波数の電波まで
よく跳ね返すようになる,ということです.

A-17(正答:5)

電離層がらみでもう1問.HF帯の電離層伝播の知識を問う問題.
1番は「最低の周波数」が誤り.「最高の周波数」ですね.
2番は「50パーセント」が誤り.「85パーセント」なら正解.
3番は「距離が変わっても一定である」ではなく「距離によって
変化する」とか「一般に距離が離れるほど高くなる」が正解.
4番は「臨界周波数より低い」ではなく「臨界周波数より高い」.
正解は5番.昼間はLUFが上昇するため,ローバンドの通信が
だめになる(電離層伝播が使えなくなる).夜は遠方のAMラジ
オの電波が受かりやすいことと結びつけて覚えよう.

A-18(正答:3)

可動コイル計器についての知識を問う問題.
(1) 可動コイルに流れる電流と永久磁石の磁界との間に働く
[電磁]力を利用した計器である.
(2) 可動コイルに流れる電流の大きさに比例した[駆動]ト
ルクと,渦巻ばねによる逆方向の[制動]トルクが等しくな
ったとき,この計器の指針は静止する.
指針の角度は電流に比例する,というところがこの計器の重
要ポイント.

A-19(正答:2)

スイッチが断のときの可変コンデンサの容量をCv1,スイッチが接の
のときの可変コンデンサの容量をCv2とすれば,Cv1 = Cv2 + Cx が
成り立っているということですから,250 = 100 + Cx.Cx=150[pF].
2番が正解.

A-20(正答:1)

電圧変動率の定義を問う問題.正解は1番.これはもう覚えるしか.

B-1(正答:5,9,2,7,8)

電流,電圧,抵抗,コンダクタンスの知識を問う問題.
(1) 電流の大きさは,導線の断面を毎秒通過する[電気量]で
表される.すなわち,1秒間に1[C]の[電気量]が通過するとき,
その電流は1[A]となる.また,流れる方向が変化する電流を[交流]
という.
(2) 導電性物質上の2点間の電位差又は電圧[V]と,その間に流れる
電流I[A]との間には,定数をR[Ω]及びG[S]とすると,V=RI又はI=GVで
表される比例関係が成り立つ.これを[オーム]の法則といい,比例
定数Rを[抵抗],G[S]を[コンダクタンス]という.

B-2(正答:6,8,7,5,1)

図記号の知識を問う問題.
アは発光ダイオード,イはNチャンネル(矢印が内向き)接合形FET,
ウはバラクタダイオード(静電容量ダイオード),エはNPN(矢印が
外向き)トランジスタ,オはツェナーダイオード.

B-3(正答:1,7,6,8,5)

ブラウンアンテナ(グランドプレーンアンテナ)の知識を問う問題.
よく使われるアンテナですから常識問題ですよね.アンテナの種類と
給電点インピーダンスはがっちり暗記しましょう.
(1) ブラウンアンテナは一般に,同軸線の中心導体を[1/4]波長だけ
垂直に延ばして放射素子とし,大地の代わりとなる長さが[1/4]波長の
数本の[地線]を,同軸線の外皮導体に放射状に付けたものである.
(2) 放射電波は[垂直]偏波で,水平面の指向特性は[全方向性(無指向性)]
であり,給電点のインピーダンスは,地線が外皮導体に直角のときは
約[21][Ω]である.

B-4(正答:5,9,7,8,2)

VHF帯の電波伝播の知識を問う問題.
(1) 受信アンテナには,主に[直接波]又は[直接波]と大地表面で
反射して受信アンテナに到達する大地反射波との[合成波]が受信
される.
(2) 受信点においてこの二つの電波の位相が[同相]で,かつ,大きさが
等しいとき,電界強度が約[6[dB]]増加する.また,この二つの電波の
位相が[逆相]で,かつ,大きさがほぼ同じであれば,互いに打ち消しあって
電界強度が著しく低下する.

B-5(正答:1,1,1,2,2)

整流回路の知識を問う問題.こんな表でも作って暗記しましょうか.
オはいずれにしても間違いですね.

チョーク入力形コンデンサ入力形
内部抵抗の小さい整流器が使える内部抵抗の小さい整流器は使えない(壊れてしまう)
電圧変動率が小さい電圧変動率が大きい
大出力の整流回路に適している小出力の整流回路に用いられる
出力電圧が小さい比較的高い出力電圧が得られる
負荷電流によってリプルは変化しない出力電流を大きくするとリプルも大きくなる

感想

A-3は…まいりました.試験テクニック的には「手をつけては
いけなかった問題」ということになりましょうか.式自体は
簡単ですから,今後は覚えるべき公式に加えないといけませ
んね.
アンテナの問題が2問.実際にアマチュア局を運用していれば
解ける問題がけっこう出ましたね.でもなんとなくいつもより
ちょい難しめかなあ,という印象です.

コメント欄


2アマ法規

A-1(正答:4)

電波法第1条第2条ですねえ.がっちり丸暗記.
根拠となる法令は以下の通り.

この法律は,電波の公平かつ能率的な利用を確保することによって,
公共の福祉を増進することを目的とする.
(法1条)

この法律およびこの法律に基づく命令の規定の解釈に関しては,次
の定義に従うものとする.
 一 「電波」とは,300万メガヘルツ以下の周波数の電磁波をい
   う.
 二 「無線電信」とは,電波を利用して,符号を送り,または受
   けるための通信設備をいう.
 六 「無線従事者」とは,無線設備の操作またはその監督を行う
   ものであって,総務大臣の免許を受けたものをいう.
(法2条1号,同2号,同6号)

A-2(正答:4)

電波法の基本中の基本を問うですが,どうやら新問みたい.
確かにわざわざ上級ハムの試験で問うことではないような
気がしますが,過去問勉強法では逆にこういうところの勉強を
抜かしてしまうから,基礎もしっかりね,というメッセージ
でしょうか.
根拠となる法令は以下の通り.

無線局を開設しようとする者は,総務大臣免許を受けなければならない.
ただし次の各号に掲げる無線局については,この限りでない.
[以下略]
(法4条)

次の各号のいずれかに該当する者は,1年以下の懲役または100万円
以下の罰金に処する.
 一 第4条の規定による免許がないのに,無線局を開設し,また
   は運用した者.
(法110条1号)

A-3(正答:5)

根拠となる法令は以下の通り.

免許人は,
 通信の相手方,通信事項もしくは
 無線設備の設置場所を変更し,または
 無線設備の工事をしようとする
ときは,あらかじめ総務大臣の許可を受けなければならない
[以下略]
(法17条1項)

A-4(正答:5)

根拠となる法令は以下の通り.

免許がその効力を失ったときは,免許人であった者は1箇月以内に
その免許状を返納しなければならない
(法24条)

A-5(正答:1)

根拠となる法令は以下の通り.

受信設備は,その副次的に発する電波または高周波電流が,総務省
令で定める限度をこえて他の無線設備の機能に支障を与えるもので
あってはならない.
(法29条)

法29条に規定する副次的に発する電波が他の無線設備の機能に支障
を与えない限度は,受信空中線と電気的常数の等しい疑似空中線回
を使用して測定した場合に,その回路の電力が4ナノワット以下
でなければならない.
(設備規則24条1項)

A-6(正答:3)

うわあこんなの覚えてねえよ,な人が多かったんじゃないかな.
でも落ち着いて問題を読むと「正しいものを選べ」なので,
1アマ法規のA-6よりはましです.見覚えのあるものを選べば
よろしい.
ちなみに誤りの部分を順に書き出すと…(施工規則4条の2より)
・4番の選択肢.「電波の形式の記号」の1桁目が「J」ならば,
「主搬送波の変調の形式」は「振幅変調であって抑圧搬送波による
単側波帯」になる.「振幅変調であって全搬送波による単側波帯」
の記号は「H」.
・2番の選択肢.「電波の形式の記号」の2桁目が「7」ならば,
「主搬送波を変調する信号の性質」は「ディジタル信号である2以上の
チャンネルのもの」になる.「アナログ信号である2以上のチャンネル
のもの」の記号は「8」.
・1番の選択肢.「電波の形式の記号」の3桁目が「C」ならば,
「伝送情報の形式」は「ファクシミリ」になる.「データ伝送,
遠隔測定または遠隔指令」の記号は「D」.
・2番の選択肢.1番の選択肢の場合の逆.
ということで,3番が残ります.A3E のほか,A1A, F3E, J3E ぐらいは
覚えておきましょう.

A-7(正答:1)

ハイパワー無線局を扱える上級ハムは,安全を保持するための諸規定も
ちゃんと知っておいてくださいね,ということでしょうか.
根拠となる法令は以下の通り.

送信装置の空中線,給電線もしくはカウンターポイズであって高圧
電気を通ずるものは,その高さが人の歩行その他起居する平面から
2.5メートル以上のものでなければならない.ただし,左の各号の
場合は,この限りでない.
 一 2.5メートルに満たない高さの部分が,人体に容易にふれな
   い構造である場合または人体が容易にふれない位置にある場
   合.
 二 移動局であって,その移動体の構造上困難であり,かつ,
   線従事者以外の者が出入しない場所にある場合.
(施行規則25条)

高圧電気(高周波もしくは交流の電圧300ボルトまたは直流の電圧
750ボルトをこえる電気をいう.以下同じ.)を使用する…(以下略)
(施行規則22条)

A-8(正答:3)

根拠となる法令は以下の通り.

空中線の指向特性は,左に掲げる事項によって定める.
 一 主輻射方向および副輻射方向
 二 水平面の主輻射の角度の幅
 三 空中線を設置する位置の近傍にあるものであって電波の伝わ
   る方向を乱すもの
 四 給電線よりの輻射
(設備規則22条)

A-9(正答:1)

絶対丸暗記部分(目的外通信).とりこぼさないようにしましょう.
根拠となる法令は以下の通り.

無線局は,免許状に記載された目的または通信の相手方もしくは通
信事項(...[略]...)の範囲を越えて運用してはならない.ただし,
次に掲げる通信については,この限りでない.
 四 非常通信(地震,台風,洪水,津波,雪害,火災,暴動その
   他非常の事態が発生し,または発生するおそれがある場合に
   おいて,有線通信を利用することが著しく困難であるときに
   人命の救助,災害の救援,交通通信の確保または秩序の維持
   のために行われる無線通信をいう.以下同じ.)
(法52条4号)

A-10(正答:4)

2アマでは初出題かも.(H16/12までは記録なし.)
根拠となる法令は以下の通り.

無線局は,他の無線局または電波天文業務(宇宙から発する電波の
受信を基礎とする天文学のための当該電波の受信の業務をいう.)
の用に供する受信設備その他の総務省令で定める受信設備(無線局
のものを除く.)で総務大臣が指定するものにその運用を阻害する
ような混信その他の妨害を与えないように運用しなければならない.
ただし,第52条第1号から第4号までに掲げる通信(*)については,こ
の限りでない.
  (*) 遭難通信,緊急通信,安全通信,非常通信
(法56条)

A-11(正答:2)

根拠となる法令は以下の通り.

無線局は,自局の呼出しが他のすでに行われている通信に混信を与
える旨の通知を受けたときは,ただちにその呼出しを中止しなけれ
ばならない.無線設備の機器の試験または調整のための電波の発射
についても同様とする.
(運用規則22条1項)

A-12(正答:4)

根拠となる法令は以下の通り.

免許状に記載された通信の相手方である無線局を一括して呼び出そ
うとするときは,左の事項を順次送信するものとする.
 一 CQ      3回
 二 DE      1回
 三 自局の呼出符号 3回以下
 四 K       1回
(運用規則127条1項)

A-13(正答:3)

根拠となる法令は以下の通り.

次の各号のいずれかに該当する者に対しては,無線従事者の免許を
与えないことができる.
 一 第9章(*)の罪を犯し罰金以上の刑に処せられ,その執行を終わ
   り,またはその執行を受けることがなくなった日から2年を
   経過しない者
    (*) 罰則に関する規定.105条から116条まで.
 二 第79条第1項第1号または第2号の規定により,無線従事者の
   免許を取り消され,取消しの日から2年を経過しない者
 三 著しく心身に欠陥があって無線従事者たるに適しない者

総務大臣は,無線従事者が左の各号の一に該当するときは,その免
許を取消し,または3箇月以内の期間を定めてその業務に従事する
ことを停止することができる.
 一 この法律もしくはこの法律に基づく命令またはこれらに基づ
   く処分に違反したとき.
 二 不正な手段により免許を受けたとき.
(法79条1項1号,同2号)

A-14(正答:1)

根拠となる法令は以下の通り.

無線局の免許人等は,次に掲げる場合は,総務省令で定める手続に
より,総務大臣に報告しなければならない.
 一 遭難通信,緊急通信,安全通信または非常通信を行ったとき.
 二 この法律またはこの法律に基づく命令の規定に違反して運用
   した無線局を認めたとき.
 三 無線局が外国において,あらかじめ総務大臣が告示した以外
   の運用の制限をされたとき.
(法80条)

A-15(正答:2)

届出でよく,事後でよい(常置場所を変更したあとでよい)
というのがポイント.
根拠となる法令は以下の通り.

移動する無線局([略])の免許人は,その住所([略])またはその局の
無線設備の常置場所もしくは...[略]...を変更したときは,できる
限り速やかに,その旨を文書によって,総務大臣または総合通信局
に届け出なければならない
(施行規則43条3項)

★「総合通信局長(沖縄総合通信事務局長を含む。)」については
こちらの【細かい話ですが】を参照されたし.

A-16(正答:5)

根拠となる法令は以下の通り.

無線従事者は,免許の取消しの処分を受けたときは,その処分を受
けた日から10日以内にその免許証を総務大臣または総合通信局長に
返納しなければならない.免許証の再交付を受けた後失った免許証
を発見したときも同様とする.
2 無線従事者が死亡し,または失そうの宣告を受けたときは,戸
籍法([略])による死亡または失そう宣告の届け出義務者は,遅滞な
く,その免許証を総務大臣または総合通信局長に返納しなければな
らない.
(従事者規則51条)

A-17(正答:4)

これも頻発に出題される条文.丸暗記で吉.
根拠となる法令は以下の通り.

標準周波数報時義務
 一般的受信のため,公表された高い精度の特定周波数,報時信号
 またはこれらの双方の発射を行う科学,技術その他の目的のため
 の無線通信業務
(S1.53)

A-18(正答:3)

1アマ法規A-18を参照されたし.

A-19(正答:1)

はーい,これまた頻出問題.暗記暗記.
根拠となる法令は以下の通り.

すべての局は,不要な伝送,過剰な信号の伝送,虚偽のまたはまぎ
らわしい信号の伝送,識別信号のない信号の伝送を禁止する
(第19条(局の識別)に定める例外を除く.).
(S15.1)

A-20(正答:1)

無線従事者免許や無線局免許状の裏面に電波法59条「何人も法律
に別段の定めがある場合を除くほか,特定の相手方に対して行わ
れる無線通信(...[略]...)を傍受してその存在もしくは内容を
漏らし,またはこれを窃用してはならない.」としつこく印刷さ
れているのは,実はこの国際法規の要請によるものです.
根拠となる法令は以下の通り.

(1) 送信局は,その属する国の政府が適当な様式で,かつ,無線通
信規則に従って発給する許可書がなければ,個人またはいかなる団
体においても,設置し,または運用することができない.ただし無
線通信規則に定める例外の場合を除く.
(2) 許可書を有するものは,憲法および条約の関連規定に従い,
気通信の秘密を守ることを要する.さらに許可書には,局が受信機
を有する場合には,受信することを許可された無線通信以外の通信
の傍受を禁止することおよびこのような通信を偶然に受信した場合
には,これを再生し,第三者に通知し,またはいかなる目的にも使
用してはならず,その存在さえも漏らしてはならないことを明示ま
たは参照の方法により記載していなければならない.
(S18.1,S18.4)

B-1(正答:2,1,2,2,1)

根拠となる法令は以下の通り.

次に掲げる無線局の免許を申請しようとする者は,法6条に規定す
る記載事項のうち,次の区分に従い,それぞれ下記の事項の記載を
省略することができる.
 [途中略]
 五 アマチュア局(人工衛星等のアマチュア局を除く)
                  開設を必要とする理由
                  および運用開始の予定期日
 [以下略]
(免許規則15条1項)

B-2(正答:1,1,2,1,2)

根拠となる法令は以下の通り.

送信空中線の形式および構成は,左の各号に適合するものでなけれ
ばならない.
 一 空中線の利得および能率がなるべく大であること
 二 整合が十分であること
 三 満足な指向特性が得られること
(設備規則20条)

B-3(正答:1,1,2,2,1)

根拠となる法令は以下の通り.

QRH?  こちらの周波数は変化しますか?
QRK?  こちらの信号(または[名呼]の信号)の明りょう度は
      どうですか?
QRM?  こちらの伝送は混信を受けていますか?
QRN?  そちらは,空電に妨げられていますか?
QSY?  こちらは,他の周波数に変更して伝送しましょうか?
(名呼...名称または呼出符号)
(運用規則別表2号より抜粋)

B-4(正答:1,2,3,4,9)

根拠となる法令は以下の通り.

総務大臣は,無線局の発射する電波の質が第28条の総務省令で定め
るものに適合していないと認めるときは,当該無線局に対して臨時
電波の発射の停止を求めることができる.
2 総務大臣は,前項の命令を受けた無線局からその発射する電波
の質が第28条の総務省令の定めるものに適合するに至ったとの申出
を受けたときは,その無線局に電波を試験的に発射させなければな
らない.
3 総務大臣は,前項の規定により発射する電波の質が第28条の総
務省令で定めるものに適合していると認めるときは,ただちに第1
項の停止を解除しなければならない.
(法72条)

次の各号のいずれかに該当する者は,1年以下の懲役または100万円
以下の罰金に処する.
 六 第72条第1項または第76条第1項(**)の規定によって電波
   の発射または運用を停止された無線局...[略]...を運用した
   者.
   (*) 総務大臣は,免許人等が電波法,放送法もしくはこれ
     らの法律に基づく命令またはこれらに基づく処分に違反
     したときは,3箇月以内の期間を定めて無線局の運用の
     停止を命じ,または期間を定めて運用許容時間,周波数
     もしくは空中線電力を制限することができる.
(法110条6号)

B-5(正答:2,1,1,1,2)

「局の技術特性」はけっこう条文がいっぱいあって覚えるのが大変
なので,なかなか完答はきついかも.
根拠となる法令は以下の通り.

送信局は,周波数許容偏差および不要発射レベルを技術の現状およ
び業務の性質によって可能な最小の値に維持するよう努力するもの
とする.
(S3.8)

発射の周波数帯幅は,スペクトルを最も効率的に使用し得るような
ものでなければならない.このためには,一般的には,周波数帯幅
を技術の現状および業務の性質によって可能な最小の値に維持する
ことが必要である.
(S3.9)

受信局は,関係の発射の種別に適した技術特性を有する装置を使用
するものとする.とくに選択度特性は,発射の周波数帯幅に関する
無線通信規則(第3.9号)の規定に留意して,適当なものを採用す
るものとする.
(S3.12)

感想

A-2のように,3アマ4アマで出るような基礎的な知識の確認問題
がありましたね.受験者層の変化(いきなり上級ハムを受ける人
や前回の試験からブランクがある人を想定か?)を意識した出題
でしょうか.
1アマ法規よりは参照する条文の数は少なく,関係は単純なのですが,
正確な暗記が求められることには変わりはないようです.

コメント欄

  • 解説助かります。08年12月もよろしくお願いいたします。 -- ? 2009-01-30 (金) 16:42:57

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