はじめに

ギターやピアノに比べると昨今の管楽器人口は非常に少ないと感じざるを得ません。その理由はおそらく

  • 1. 管楽器に触れる機会が少ない
  • 2. 演奏法にはさまざまな手法があり、どれをとっていいのかわからない
  • 3. 教えてくれる人がいない

などが考えられます。ここで、2と3の問題を多少なりとも解決しようと思い、ここに私が学んでいる演奏法をかんたんに記すことにしました。

トランペットは敷居が高く難しい楽器だと思われがちですが、こんな言葉があります。

「金管演奏は深呼吸と同じくらい簡単である」―Claude Gordon

自然の摂理に従って正しく演奏すれば確かにこの言葉のとおりなのです。

トランペットについて

トランペットの仕組み

トランペットの各部の名称

トランペットは金管楽器であり、演奏者の呼気により演奏者の唇を振動させ、その振動をマウスピース→楽器本体と伝達させて音を出します。

唇の振動が速くなると音は高くなり、逆にゆっくりだと音は低くなることになります。

トランペットの音域

トランペットの音域は、多くの教則本に記されているものだと2オクターブ半ほどですが、高音域には無限です。音階など基本事項は他のサイトや教則本を参考にしてください。

楽器の準備

マウスピース選び

マウスピースには各部の細さや長さによって息の通り方が違ってきます。指導者がいるのであれば指導を仰いだ方がいいでしょう。

一般的にBachの5Cや7Cから始めた方がいいとは言われていますが絶対ではありません。 出したい音や唇の形、個人の実力によってマッチするマウスピースは変わります。

また材質やメッキ処理の仕方によっても音が違うのでいろいろ試してみるのも良いかもしれません。

トランペット本体

トランペットに関しては、2万円程度の楽器は楽器とは呼べない代物ですので、きちんとやるつもりであればやはりきちんとしたものを購入したいものです。

ちゃんと吹くつもりであれば6万円程度の物を探しましょう。

トランペット選び

楽器にはボアサイズというものがあり、全体の太さの指針になります。LからMまでありますが、最初はMLが良いかと思われます。

YAMAHAの楽器は高品質で価格もおさえられており、またアフターサービスも万全なので初心者にはベターだと思います。

材質によっても音は変わります。いろいろな楽器を試奏して選びましょう。 自分で選べない場合は信頼できる店舗、スタッフに要望をしっかりと伝えて選んでもらうのが良いかもしれません。

金メッキ、銀メッキ、ラッカー塗装

この外装仕上げによっても音が変わってきますが、好みで選んでしまってよいでしょう。 因みに金や銀でないカラーラッカー塗装のもので、なおかつきちんとした楽器はかなり数が限られています。

購入時の注意

必ず試奏してから購入してください。体の一部となるものですし、海外メーカーによっては個体ごとの違いも激しいです。

ネットで販売しているところも多数ありますが大変リスキーですので多少高くても在庫の多い販売店まで足を運びましょう。

具体的な演奏法

体全体の姿勢

芯の通った、直立姿勢

足元から頭頂部まで、一直線な芯の通った姿勢を取ることで、息を効率よく、力強く出すことができます。

力強くと書きましたが、筋力はほとんど使いません。あくまで息が力強く出るというだけ。こういったところも金管演奏は楽なものであるとする所以です。

外部筋の力を抜く

体の表面に付いている筋肉はアウターマッスルと呼ばれます。この筋肉群はすべて脱力していることが必要です。無駄な力が入っていると、すぐに疲れて演奏を続けることができなくなってしまいますし、正確な音のコントロールも難しくなります。

ですが、体の内側の筋肉は硬くなり体に芯を作っていることが必要です。スムーズに息を取り込み、自然に息が出て行く状態を作るためです。

その姿勢をとるためのコツをご紹介します。

お腹は膨らんでいる

金管楽器演奏においては、吸うときにお腹をふくらませ、吐くときにへこませる方法は有効ではありません。腹部は膨らませたままです。お腹に空気が入るわけはありませんが横隔膜が下に下がることで肺を膨らませるスペースができます。

肺とその周りの筋肉

演奏に使う空気は、呼吸をすることで肺に入って、肺の周りの筋肉がポンプのように収縮し、外に出ます。パワフルなサウンドやきらびやかなハイノートを生み出す原動力は、この筋肉を鍛えることによってのみ発展します。

そしてこの筋肉を鍛えるためには、上記の姿勢をとり、呼吸をする方法しかありません。上記の芯が通った、内側に芯がとおり、外側がやわらかい姿勢をとれば、肺の筋肉が自然と収縮し、息が外に流れ出るはずです。

呼吸を鍛えるエクササイズ

まず、体の芯を使って胸を張った状態を作ります(チェストアップと呼びます)。

胸を張るときに、肩や胸の筋肉に無駄な力が入っているといけません。自然に胸を張った状態を作りましょう。

この状態で、深呼吸をします。息は心地よいぐらいにたっぷりと吸います。吸いすぎてはいけません。そして完全に息を吐ききります。この時の肺周りの筋肉がキュッと締まるのを感じてください。

これを10呼吸1セットで行い、一日最低5セットは行いましょう。もっとやってもいいです。

歩きながら呼吸を鍛える

チェストアップ状態で、歩きながら呼吸をします。

  1. まずは五歩かけて肺をいっぱいにし、次の五歩は肺がいっぱいの状態をキープします。
  2. そしてまた五歩かけて肺を空っぽにします。肺周りの筋肉がキュッと締まるのを感じてください。
  3. そして空っぽの状態を五歩キープします。

この繰り返しを一日1.6kmほど行います。初めはきついですが、すぐに楽に呼吸できるようになります。

一ヶ月これを続けたら、次は6歩のサイクルに増やします。一ヶ月ごとに7歩、8歩を増やし、最終的には10歩になります。10歩を一ヶ月やったら、歩きをジョギングに変えて5歩から行います。

これらの練習は室内で行うものではなく、外を歩くときに行うものです。また、寒い時や空気が汚い時は、のどを痛める恐れがあるので鼻から息を吸い込んでください。

呼吸のトレーニングについて

呼吸の重要性

呼吸は金管演奏の要素の90%を占めるといわれています。上記の方法でしっかりと楽に呼吸をし、体を発展させることは上達の第一歩です。

舌の重要性

舌はエアーコントロールの次に重要と思われます。

  • 音の高低
  • 音色
  • タンギング

これら出る音の要素に直接影響するのが、舌です。

発音と舌の位置

舌は高い位置にあると高い音が、低い位置にあると低い音が出ます。舌を上げると空気が舌の抵抗によって圧力を受け、加速するからです。舌先に関しては、下の前歯の先端の裏に軽く当てます。

さて、舌を上下させる方法ですが、やはりイメージが必要です。人間の体は頭の中でその状態をイメージすることによりコントロールすることができます。そのイメージをやりやすくするため、普段会話などで用いている発音を楽器演奏にも適用するのです。

まず「Ah」の発音で演奏すると、舌による抵抗はほとんど生まれないため低い音が出ます。次に「Ee」の発音を用います。「Ah」から「Eh」に変えると、舌がアーチ状になって抵抗を生みます。これによって空気は加速され、高い音が出るというわけなのです。このように舌を上げるためには、「Eh」の発音を使わなくてはなりません。「Ah」のままでは舌はあがることはないでしょう。イメージのなせるわざです。

初めにこのやり方をやった場合、あまり高い音が出るという実感はわかないかもしれません。倍音一つ分くらいの変化でしょう。ですが、非常に高い音を出す場合も、このようにして舌の位置を変化させるという行為自体に変わりはありません。

高音はトランペット演奏においてはもっともハードルの高い、特殊技能のようなものが大変です