【書評】 Sウォッシュバン「乃木将軍と日本人」
第三軍従軍記者の回顧録だけど,いちおう二〇三高地をとって,初めてロシア艦隊を射撃したのではなく,8月の第一回総攻撃以来,旅順港湾を徐々に瞰射の視野に納め,ロシア艦隊が死角に逃れるうちに,最後の二〇三高地争奪にいたる過程が,簡潔に描かれている.
あと,旅順要塞が二〇三高地の激戦の後に,1月に早期に陥落することで,3月の奉天会戦に乃木第三軍が間に合い,戦勝に寄与した.
これが6月まで順延すれば,ロシアの満州軍は増援され,絶対勝てなかったろうともある.
5月の日本海海戦はトラファルガル(1805.10)となり,結局,アウステルリッツ(1805.12)で戦勝したナポレオンの事例もあるから,なるほどと思ったな.