【書評】 ブルース・キャットン「南北戦争記」


 【書評】 ブルース・キャットン「南北戦争記」

第一版1960年という,あちらにおける南北戦争定番通史の初訳,というかいままで翻訳がなかったことのほうが大問題.
北部の勝利がほぼ確定するに至るまでの軍事的流れを,各登場人物に対する鋭い寸評を交えつつまとめた後,戦争の背景事情に触れてから,終戦と戦後処理までをまとめてある.
戦記書には欠かせない地図だが,ルイジアナまでの北米大陸をカバー裏に記し,重要戦役における付図も充実している.これは原著にはなく訳者が作成したそうな.
著者の軍事的見識については,ゲティスバーグにはさらりと触れるにとどめ,同時期に陥落したヴィックスバーグ攻防戦を,「ミシシッピ川の川筋を北軍が抑え,南部連合を2つに裂き,挽回不能の損害をもたらした」故に重視しているあたりで察していただきたい.
本邦における南北戦争の軍事書籍というと,M文庫の地図で読む南北戦争がこれまでトップだったが,
いささか高度な素養が要求される戦術書である同書に対し,こちらは,一般読者が読むことを想定し,戦術レベルから経済レベルまでをトータルに概括する「戦争史』となっている.広く一読をおすすめする.

6152011/12/15(木) 18:11:13.07 ID:??? [591/969回発言]

611 まあ,一応これまでにも太平洋戦争の海戦史なんかを書いてる軍事方面に強い歴史家のサミエル・モリソンの
「アメリカの歴史3 ヴァン・ビューレンの時代―南北戦争 1837―1865年」(集英社文庫)
が結構詳しく南北戦争を書いていて,
これ以前に本邦でアメリカ南北戦争の通史が日本語で読めなかったわけじゃないけどね.
とはいえ世界史的に重要な戦争なのに,あんまり本が出てない(「戦争指揮官リンカーン」とか,あるにはあったけどね) 歴史分野だった.
普仏戦争とかクリミア戦争とか,その辺もあんまり本が出てないよな.クリミア戦争なんて七年戦争に次いで,プレ世界大戦みたいな戦争だったのに通史がない.

軍事板,2011/12/15(木)

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