【質問】 被害が最も予想される静岡市などに,陸自を置いておこうと言う話にはならないのでしょうか?


 【質問】
 東海地震の震度予測が出て,地震予知に失敗した場合,最悪で倒壊家屋による死亡者が8000人を上回る,との被害予想がなされました.
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/20020830k0000m040071000c.html

 最も被害が予想される静岡市や浜松市あたりに,陸上自衛隊の施設や部隊を置いておこうと言う話にはならないのでしょうか?
 それとも,災害予想地域の真ん中に駐屯地を置いておいても,仕方が無いという判断がされているのでしょうか?

 自衛隊の主任務と消防庁の役割は理解しているつもりですが,予測される震度7の地震が起きた直後に,消防署に何が期待できるんだろうと思ってしまいます.

 消防は水も電気も無い場所で,消火活動が出来る体制,装備じゃないですし,幹線道路が軒並み壊滅していたら,そもそも身動きが取れません.
 恐らく予測されている災害とは,そういう種類のモノだと思います.

 その場合に,外部のライフラインを全くあてにしないで,行動に必要な要件が完結できる自衛隊が,近くに居るか居ないかは,現地に住む者にとっては正に「死活問題」です.

 「予測される国民生命財産に対する重大な脅威」である点において,巨大地震も国外勢力の侵略行為も同じ事で,同じように守って頂きたいなあと期待するのは,納税者の我が侭に過ぎますでしょうか?

 【回答】
 まず,浜松には空自の施設が存在しますが……
 空輸により救援物資を迅速に受け入れることができ,災害救援にはたいへん有効ですが?

 それに,災害救助の応動体勢を考えると,むしろ県外に有った方が何かと便利では?
 自衛隊の場合,県知事の要請が無いと,災害救助活動は出来ない事になっていますので,駐屯地の近くに,いくら被災民がいようとも,勝手に救助活動が出来ない事に,法律上はなっていますので(実際は違うでしょうが).

震度7の地震が起きた直後に,消防署に何が期待できる

 地震による被害の中でも,特に恐ろしい火災には,自衛隊より活躍が期待できますが.
 「水がなければ消火できない」は,自衛隊も同じですよ.
 建物等を破壊して延焼を防ぐことも,法律的に難しいところですし.
 下敷きになった人を助けようにも,施設科でなければ重機をほとんど持たないですし.
 最大の利点は,野外炊具などの装備のおかげで,ライフラインを絶たれても暖かい食事を食べられることでしょうか.
 それも被災者全てに,というわけにはいきませんし.

 それにたとえ災害予定地域の中心に存在しなくとも,「首相,あるいは知事が迅速に自衛隊派遣命令(要請)」を出し,「使用可能な道路を被災者が,脱出のために占拠」しなければ,遅くとも半日以内には被災地にたどり着きます.
 結局,役所関係が的確に対応し,市民が自覚を持っていれば,被災予定地の中心にいようがいまいが,あまり変わりありません.

 あと,自衛隊に災害救助を期待するのはかまいませんし,自衛隊側もその点にも対応できるよう準備していますが,自衛隊という組織は,あくまで国土防衛が主であって,災害救助は従に過ぎません.
 あの予算と組織規模で,両方に完璧に対応できるようにするのは不可能であり,どちらを優先するか自明である以上,その点をもって自衛隊を責めるのはお門違いもいいところですよ.

軍事板,2002/08/29

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