【回答】
現代の航空戦における戦闘機の優位性,という趣旨と解釈して回答します.
現代では,積極的に戦闘を狙った航空機は,戦闘機しかありません.
それ以外の輸送機や爆撃機,哨戒機などが装備する空戦装備は自衛用でしかなく,しかもそれすら装備しないことのほうが一般的です.
(この回答では,戦闘爆撃機や戦闘攻撃機といった戦闘機ベースの機体も,戦闘機に入れて語ります)
戦闘機が戦闘機たりえる要素は機動性です.
戦闘機は小さな機体に強力なエンジンを装備し,安定性を限定して操縦性を上げた空力的特性をもっています.
レーダーやミサイル,あるいは最近流行のステルス性などは,全て自分の機動性を最大源活かし敵のそれを封殺するための装備にすぎません.
では,なせそこまで機動性が求められるのでしょうか?
過去,ミサイルの発達に伴いミサイル万能論という概念が流行しました.
ミサイルの発達した現代では,空戦はミサイルの性能によって決着されるので,航空機は対空ミサイルの第1段目に徹するべきだ,という考え方です.
また,この延長線上に生まれたのが,空中巡洋艦構想やその亜種の構想で,簡単にいえば哨戒機や輸送機にミサイルを沢山のせて空戦させれば最強じゃね?というものです.
しかし,これらはベトナム戦争を境に衰退します.
ベトナムで明らかになったのは,ミサイルがいかにあたらないか,という現実でした.
これは当時の技術の未熟さもありましたが,それ以上にいかにミサイルといえども,質量を持った大気圏内飛翔体にすぎず,空力的特性には意外に低い限界がある事が露呈されたのです.
ここでキルコーンという概念が登場します.
これはレーダの探索範囲,およびミサイルの有効射程,および機動性から求められるもので,実戦に実用化された技術レベルにおいては,戦闘機の前方に円錐上に広がっています.
いわば,戦闘機にとって己の拳が届く範囲です.
もうお分かりでしょう.
現代の空戦では,いかに相手のキルコーンから逃れ,自分のキルコーンに相手を入れるかが焦点になります.
このため,マニューバーと呼ばれる種々諸々の曲芸飛行的な機動技術が考案されましたが,これらは本来の航空機としては好ましくない/してはいけない危険な動きです.
これを実現するために強力なエンジン出力と良好な操縦性に特化した設計思想が,現代の戦闘機を形作る礎となっているのです.