【回答】
冬戦争でソ連が勝利できなかった理由の一つに,トハチェフスキー元帥を始めとする赤軍幹部を,スターリンが1937年に粛清,(いわゆる「赤軍大粛清」)したために軍が弱体化していたことがあります.
この粛清では,高級将校の65%,下級将校の10%,総計2万人が逮捕され,1500人が処刑されました.
このため,よく訓練された高級将校が極端に減少し,指揮系統はガタガタとなりました.
トハチェフスキー元帥(37年に粛清あぼーん)により主導された,軍の機械化や大規模な空挺部隊の編成は,高い評価を受けていました.
36年に白ロシアで行われた大演習では,これらの部隊の運用について,英仏の観戦武官から高い評価を得ています.
大粛清がなければ,少なくとも史実のようなヘタレッぷりは無かったと思われ.
また,自国の地形を熟知するフィンランド軍が,複雑な地形を利用して,巧みに軍を配置し,数の不利をカバーした事や,各国の世論が一様にフィンランド支持で物資の支援があったこともあります.
フィンランド軍総司令官カール・グスタフ・エミール・マンネルヘイム元帥は,元々皇帝ニコライ二世の信任厚い帝政ロシアの軍人でした.
革命勃発後フィンランドに帰還し,1918年の左派クーデターに続く内戦では,政府軍を率いて勝利しています.
侵略してきたソ連に対する2度の戦争(冬戦争・継続戦争)にも総司令官として挑み, 1944年8月には大統領に選出されています.
軍事的才能と政治的手腕を併せ持ち,フィンランドの救国の英雄と言われたのは当然でしょう.
フィンランド軍は,自国で戦ったために地理に精通しており,しかも兵器の修理能力も,かなり高水準にありました.
しかも,軍隊としてもバランスの取れた,防衛的な軍隊であります.
このため,かなりな強さを発揮しました.
ただ,物量で押し切られると,どうしようもありませんが.
さらに,ソ連にとっても初めての冬季の機甲戦であり,問題が続出していました.
44年以降の攻勢は,ソ連軍が本来持つ力を発揮できたということでしょう.
また,一方大戦後半のソ連軍は,
・レンドリースにより,大量の被服・武器弾薬・トラック等を確保できた
・レンドリースによって浮いた工業生産力を,軍需へ集中した
・これらの要因により,膨大な兵力を動員することが可能となった
取りあえずはこんなとこかな.