【回答】
ホスゲンの潜伏期ってのは,「肺水腫を起こす」までの時間であって,吸入すれば眼,鼻,気道などの粘膜に刺激症状が起こる.
というかこれは,ガスの有毒性が直接致死の効果を持つんじゃなく,有毒性によって肺水腫を引き起こすというものであり,それをして便宜的に「潜伏」って表現をしてるだけだ.
マスタードガスの方は,兵器としての主目的は「びらん性」で,皮膚を爛れさせる.
その他に,消化器や呼吸器系,造血器に障害を起こすし,後遺症も起こる.
でもって,マスタードガスは「症状が出るまで時間がかかる」事であって,それは「遅効性」と言う.
ついでに,マスタードガスが無味無臭なのは純度が高い場合であり,純度の低いものは名前の通り,マスタードやニンニクの臭いに似ているのが名前の由来だ.
というか化学兵器で,吸ったり皮膚に付着したりして,直ちに症状が出るなどしないものは,兵器足りえない.
それはほとんど影響が出てないのと同じだからだ.
催涙ガスなんかも,ガスが充満したテント内でガスマスク外す体験したが,涙が出てせきが停まらなくなるまで,わずか数秒.
あれはガチできつい.
擦るとヤバくなるから,洗面器に顔突っ込んだなぁ…
マスタードガスは濃度が高いと,すぐに皮膚が糜爛して,兵士が戦えなくなるが,実際には化学兵器は風で散ってしまうので,目的の濃度で敵に散布できる事は稀.
結果,濃度が薄まって,「すぐに影響は出ないけど,後々影響が出て体に障害や病気が出始める」って状態になる.
そのため,致死性の高くない種類の化学兵器は,現在では役に立たない事が判明している.
今すぐ戦線にいて,こっちを撃ってる敵をなんとかしたいのに,数ヵ月後に病院で死ぬよ!なんて気の長いことはしてられない.
なので,毒性が強いので吸ったらすぐ死ぬか,毒性は低いけど吸ったら一時的に戦闘不能になるか,そういう化学兵器以外は殆ど廃れた.
現代で名の知られている毒ガスの多くは,WW1〜WW2前後で大体出揃っていて,その後の研究では即効性,ダウン能力などを中心にして研究されている.
遅効性の毒ガスは兵器として使えないので,機密性が他に比べて,まだ低くく研究しやすいだけで,実用性が高いとはとても言えない.