雑居ビルの老女の霊


雑居ビルの老女の霊
関連:雑居ビル


  • 雑居ビルのエレベータホールにいた霊。
    小柄。
    色の抜けたほつれ髪をつつましくうなじにまとめ、痩せた背をわずかにかがめるようにして、どこか一点を見つめている。
    現世にすがる力がさほど残っていないのか、すでに全体の輪郭そのものが薄れ、右足の部分に至ってはほとんどが消えかかってしまっていた。
    霊燐の中、頭しか見えない状態になったが、エビスの方を向き、ゆっくりと頭を下げると消えた。(「五嶺霊異記」/『七色の魔声』<P151-153>)

    ドアチャイムの音がなり、エレベータのドアが開くと老人が乗っており、その招きに応じてエレベータに乗っていった。(「五嶺霊異記」/『七色の魔声』<P177>)

    雑居ビルの起こった霊障で住民が減り、生活苦からオーナーの老夫婦が心中したが、この霊はその奥さんと推測される。
    また、エレベータに載っていた老人はその夫と推測される。(「五嶺霊異記」/『七色の魔声』<P188>)

    資料に入っていた生前の家族写真には平凡な老夫婦の姿があった。
    雑居ビルのエレベータは、生前に膝を悪くしていた奥さんを気遣って設置されたものらしい。(「五嶺霊異記」/『七色の魔声』<P190>)